シナリオデビュー
「困った……」
「大いに悩め若者よ」
「いや、本当に困ってるんですよ。『じゃ書いてみろ』って事になっちゃったんですよ」
「やったじゃないか。シナリオデビューだ」
「でも、ホントに僕なんかが書いていいんですか? だってこれですよ!? ファンタジー物語ですよ!!」
「お前さんの自信作だろう? そんな風に言うな。俺は好きだぞ、本当に」
「ありがとうございます……。慰めでも嬉しいですよ」
「慰めじゃない。突っ込み所は立派な面白さの一つだ」
「でも、それだけじゃ……。言われた通りに色気を無くして読んでみましたよ。そしたら言われた通りでした。何の話なのかもよく分からないですよ。よく分からない理由で人が集まって敵倒して、そんで終わりです」
「別にそれが悪いわけじゃない。俺が言ってるのはエロを楽しむだけの物なのに、いいストーリー書いた気になって悦に入っていたら恥ずかしいぞって事だ」
「だから恥ずかしいんですよ!」
「うん、そうだな。タバコやエロを覚えただけで大人になった気になる。子供がよくやる事だ」
「もうやめてー!」
「はは。みんな通る道なんだよ。気にするな。恥ずかしがってる時点でお前さんはまだ見込みがある。ダメな奴は怒るだけで聞こうともしないからな」
「はあ……。でもそんな僕が書いて、ホントにいいんですかね」
「いきなりシナリオ一本書けとか言われたんじゃないだろ」
「そうですけど……。エンディングっていうか。ショートエピソードを一つです」
「そんなんでビビッてどうする。丁度いいじゃないか。別に嫌がらせじゃないだろ? 猫の手も借りたいんじゃないのか?」
「ええ。そう言ってました。でも僕が書いた物が商品に含まれるなんて、やっぱり躊躇しちゃいますよ」
「何を言ってる。どうせ酷評されて直されて、お前さんが書いた文なんて跡形も残らないんだ」
「それじゃ意味ないじゃないですか」
「まあ、とにかくやってみろ」
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