粗忽のアライさん

@zatou_7

第1話 はじめてのおつかい

 アライさんとフェネックが湖畔のプレーリーとビーバーの家にて停留していた時のことである


「・・・ということで今度のペパプライブの飾りつけのイメージを図書館からお二人に取ってきてほしいんスよ」

「なんでプレーリーとビーバーは行けないないのだ?」

「アライさーん、さっきも言ってじゃないかー、二人はステージ作りのために材料の切り出しとか準備があって先に行かないといけないのさー」

「よろしくお願いしますであります!」

「わかったのだ!アライさんにおまかせなのだ!」


-翌日-

「それじゃよろしくお願いするッス」

「はーいよ、じゃあ行こっかアライさん」

「待つのだ!今回はアライさん一人で大丈夫なのだ!フェネックはビーバーとプレーリーを手伝ってあげてほしいのだ!」

「え~大丈夫かなぁ~アライさんそそっかしいからなぁー」

「大丈夫なのだ!アライさんにおまかせなのだ!!」

「大丈夫かなぁ・・・じゃあお任せするねー」

 嫌な予感しかしないがやる気満々のアライさんを止められず今にも明後日の方向に駆け出しそうなアライさんの背中を視ることしかできなかったフェネックだった


「たしか図書館はこっちのほうだったのだ!」

 道なき道をずんずんと進んでいくアライさん

 しかし一向に思ったような場所にでず不安になり近くのフレンズに道を尋ねることにした

「こんにちはなのだ!ちょっと道を聞きたいのだ!」

「え?拙者でござるか?」

「そうなのだ!図書館はこっちであってるのか?」

「図書館でござるか?図書館は反対方向でござるよ」

「ええ!?しまったのだ!逆方向に着ちゃったのだー!匂いでわからないからとんだ間違いをしてしまったのだ・・・」

「なんだか大変そうでござるな、それでは拙者はこれにて・・・」スゥ~

「わぁ!き、消えたのだ!」

(フフフフ…さよならでござる~)

「・・・のだぁーーーーーーーー!?びっくりして図書館で何貰ってくるか忘れちゃったのだ・・・ううっ・・・」

 トボトボと図書館に向かいながらアライさんは道行くフレンズに訪ねた

「アライさんがなにを図書館に取りに行くか知らないか?」

「わ、わからん・・・」

「な、なんだよぅ!そんなの知らないよぅ!」

「お前が何を取りに行くかなんて…私が知るかぁぁぁぁ!」シャァー

「ううっ・・・弱ったのだ、誰も知らないしまだ思い出せないのだ」

 用事を忘れたまま何とかかんとか図書館にたどり着いたアライさん

 とりあえず博士に相談することにした

「・・・ということでおつかいを頼まれて来たのだ!でも何をもらってくるか忘れちゃったのだ・・・」

「博士、きっとアレじゃないでしょうか?」

「アレですね」

 博士は棚からスクラップブックを取り出しアライさんに手渡した

「これは今度のペパプライブの飾り付けの参考資料なのです、きっとこれのことなのです」

 博士の一言でアライさんの記憶がぱっと蘇った

「そ、それなのだ!それが欲しかったのだ!博士はやっぱりすごいのだ!」

「当然なのです」

「我々は賢いので」


 博士と助手に別れを告げフェネック達のもとに急ぐアライさん

 大事なことを忘れたショックで空腹も忘れてしまったのを今になって思い出し

 お腹が空いてきたので食事休憩をすることにしたアライさん

「じゃぱりまん食べるのだ!アライさんは偉いからちゃんと包んできたの・・・だぁぁぁぁ!?これは・・・これはアライさんのおもちゃ入れなのだぁぁぁぁ!じゃぱりまん入れた包と間違えたのだぁぁぁぁ!!」

 空腹と不幸なミスの悲しみで足取りが重くなるアライさん

 しかし持ち前の前向きな気持でどうにかこうにか会場に到着したアライさんはビーバーとプレーリーに資料を渡すことができた

「アライさんご苦労様であります!お疲れ様であります!」

「アライさん頑張ったッス!おかげで助かったッス!」

「アライさんにおまかせなのだ!アライさんなら完璧なのだ!」

 二人に感謝されて鼻高々になり

 フェネックにもやり遂げた姿を見せつけるアライさん

「ふふふ、フェネック!アライさんはちゃんとおつかいできたのだ!アライさんはすごいのだ!フェネック!聞いてるのか?」

「え?私クルペオギツネよ?」

「のだぁぁぁ!?腹ペコでフレンズ違いしちゃったのだぁぁぁ!」

 フレンズ違いの恥ずかしさで頭を抱えてると聞き慣れた声が聞こえた

「アライさーん、またやってしまってるのかい?」

「フェネック!」

「アライさんちゃんとおつかいできたじゃないかーすごいすごい」

「ふ、ふふん、アライさんなら完璧なのだ!アライさんにおまかせなのだ!」

「そだねー、じゃああっちで一緒にじゃぱりまん食べようかー」

「食べるのだ!」

 踏んだり蹴ったりの大変な一日だったが夕暮れの会場でフェネックと食べるじゃぱりまんの味は格別のものになったアライさんだった

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