第4話

放課後の教室で彼らはキスをしていた。

彼と彼女はこの高校で出会った。

ふいに音がすると後ろのドアが開いた。

「何してんだよ?」

彼女の元カレだった。

二人は茫然と元カレを見ていた。

夕日が射しこむ教室の中で二人で過ごす。

どうやったって元カレと彼は敵同士なのに彼はそーっと教室を飛び出した。

「彼氏か?」と元カレは聞いた。

「そう」

「ふーん」

元カレはちょっと悲し気に教室を出ていった。

彼女も鞄を持って教室を飛び出した。

彼は外で待っていた。

「なんか話したの?」と彼は聞いた。

「ううん」

二人で並んで校舎を後にした。

ゆらゆら揺らめく太陽が遠くに輝いている。

彼らの距離感も何もかもは少しずつ積み上げられ、そしてある時急になくなってしまうこともある。

ただ存在する自然なんかより周りからの目線の方が気になる。

彼は元カレのことを考え、そして彼女も元カレのことを考えていた。

「受験……?」と彼が言った。

「うん」

二人は並んで歩いていった。

アニメみたいな高校生活なんか送れやしない。

気付くと彼はただ一人で教室の窓からサッカー部の練習を眺めていた。

美しい太陽の輝きから彼女まで全て彼の儚い夢だった。


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