第4話 ミスの多い一日

 大きな厄介ごとが終わって安心していたのかもしれない。


 その日、嘉内はやたらとミスを連発した。

 そんなこともあり、リーダーの機嫌は急下降中だ。

「……やらかした」

「気にすんなー。あたしらにだってミスはある。あんたのミスは可愛いほうだと思うよ」

「ありがと」

 こうなってくると電話に出たくなるなるのが、人の心理というものである。


「ああああああ。休みたい。一日何もせずぐったりしたい!」

 休憩中思わず嘉内は口にした。ここのところ仕事が忙しくて休日出勤も多く、まともに休めていない。

「同意だね~~。嘉内ちゃんの仕事ぶり見てると、リーダーよりも頼りになるわ」

 それはイレギュラーな電話を引きまくっているという事でしょうか。本気で聞きたくなる。

「前のリーダーは前回みたいな電話があった時だと、最後まで付き合ってたよねぇ」

 グループ再編成前から同じグループの師井しいがぼそりと呟く。


 その通りだ。

 前のリーダーは「勉強になるから」と言って一緒に最後まで付き合ってくれていた。そのリーダーは、その上のクラスへと移行してしまったが。

「やっぱり移行する人って勉強してるよね~」

 同時期に入社した人間でも、そういった違いは出る。


 余談だが、このグループ内で誰が新人か、と言われたら、実は嘉内だったりする。

 それもあり、嘉内の引きの良さには、誰もが同情している。


 それ以上に、嘉内がそういった電話を引くために「ありがとう」と言ってきた人物もいるくらいだ。

 ……失礼な話である。


「あ、嘉内ちゃん。リンゴいらない?」

 いきなり師井が尋ねてきた。

「いる」

「サンキュー。明日休みだから家に来てよ」

「ほーい」

 そんな約束をして、その日は終わった。

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