第11話 お届け物です!

インターホンが鳴り、


『すいませーん、ゼブラ急便ですが〜。』


『あぁ。そういや色々頼んでたなぁ…最近それどころじゃなくて忘れてたぁ…』


宅配便が来たので、ハンコを押して受け取る…?あれちょっと待って?なんか多くね?


『ラノベ?いやさすがにこの量は頼んでないよなぁ…とりあえず確認っと。』


『うーんと……ん?俺が頼んでるのこれで終わってるけど、まだダンボール2箱も残ってるんだけど!?』


怖い…まず、なんで俺名義なのか、忘れ去ってる何か?いやそんなはずはない。だってこういうのちゃんと把握してる人だから。しっかり頼んだものメモってるから。


『とりあえず開けてみないとな…なんか嫌な予感しかしねぇ…ん?パソコンソフト?』


ガムテープを剥がしながら、伝票の内容の違和感に気づいた…これアレだ。


バサッ…


『あ、』


よくあるエロい効果音が俺の頭脳で流れる。


『お、俺頼んでねぇぇぇぇっ!!瑠璃姉ぇぇぇっ!!』


あのロリ巨乳がぁぁぁぁ!俺名義で頼んでんじゃねぇよ!こんなの知り合いに見つかったらどうすんだよっ!?たとえいくら良作でも表向きはエロ要素たっぷりのエロゲというものに変わりはないんだぞ!しかも2箱分はないだろっ!


なんて考えを巡らせた矢先、インターホンが…


『嘘だろ……い、いやいや待て。落ちつけ、俺。人によっては居留守を使うことが出来…』


『たっくーん♪遊びに来たよ〜♪』


『…』


無理だぁぁぁぁ!やっと関係が戻って来たのにそんなこと出来るわけがねぇっ!とりあえず…


『あ…かえちゃん、ごめんちょっと待ってて。部屋片付けるから。』


『そんなの気にしないってば〜、それより入るね?鍵開いてるみたいだし。』


『へっ? あぁ!?』


バカっ!なんで鍵閉めてないんだぁぁ!


『かえちゃんっ!待っ…』


遅かった…


『おーじゃましまーす♪やっほー、たっくん〜…あれ?どうしたの?ていうかすごい荷物だね?』


…はっ!?ぼーっとしてる場合じゃないんだった!ええと…バレないようにするには…考えろっ!こんな時こそ考えを巡らせるんだよっ!俺っ!


『あー…うんっ。今届いたんだけど、大人買いしたラノベだった。頼んだのすっかり忘れちゃってたんだけどね、あははっ♪』


あー…もう失敗した。だってこんなこと言ったらかえちゃんは絶対…


『おーっ♪どんなのどんなのっ?見せて〜♪』


こう言うって思ったっ!先読み能力ゼロか!俺ってやつはバカっ!ほんとバカっ!


『ふむふむ…私が読めてないやつもあるねっ。今度読ませてもらってもいいかなっ?』


『へっ?あぁ、うん!この前買ったやつも結局まだ読んでないし二人一緒にラノベを読むっていうのも出来てないもんね。』


『こっちはなんだろっ♪』


あぁ…どうか大事になりませんように…と不可能なことを分かっていながらも、誰かに祈っておこう。


『あっ、そっちは違っ!』


ソレが入ったダンボールの中を見て、かえちゃんは凍りついたように固まった、俺は周りの空気も固まったように感じた。中二病ならこの空間のことをダイアモンドダストとか言うんだろうか。


『あ、あのね、かえちゃん、それは…』


『…たっくん。』


『うひゃいっ!』


関係が壊れるイメージが頭の中でドラマのように進んでいる中、俺は焦って返事をした。


『なんで言ってくれなかったのっ?』


『えっ?』


まさか、いやまさかっ!俺が『実は俺、エロゲやってるんだ♪』なんてことをなんで面と向かって貴女に言わなかったのと聞いているのか!?


あ、いやでもエロゲはやりますよ!?←(最近は高校生でもネットで買えるからねっ!みんな買ってるでしょ?思春期の男子はっ!買ってるだろ!?←(偏見です。)


だけどね?この中身ぱっと見でも分かるほどエロ要素満載でしかない…後で問い詰めてやる…あのロリ巨乳めぇぇぇぇぇっ!覚えてやがれぇぇぇ…!


『い、いやいやっ!こんなの持ってることがバレたら絶対嫌われると思ったから!というか彼女に面と向かってエロゲやってるなんて恥ずかしいこと言えないよ!?』


『それはいいのっ!』


『えぇっ!?』


じゃあ何に怒ってんのっ!?女の子はそういうとこ気にすんじゃないのっ!?


『何で勝手にエッチなこと勉強しちゃうの!?私だってそういうの色々知りたいのにっ!』


『へっ?』


………あ、俺ますます女の子が分からんようになったわ。瑠璃姉からもそんなこと教えてもらってねえもん………あ?


あぁぁぁっ!あの人が、いや、あいつが一般人かどうか怪しいのに説教くらっても意味なかったぁぁぁぁ!頼る人間違えたわ…多分。


『い、いや。エッチなことを勉強するためというか男のさがというか、でも違うんだっ!エロゲはアニメ化してるものもあるくらいすごいゲームジャンルで、少なくとも俺はエッチなシーンを目的にしてやってるわけじゃないんだっ!』


『へ〜っ…』


言えない。一部の人はエッチなシーンを飛ばしてたりするけど、俺はしっかり見てるなんて…。買うきっかけはヒロインの可愛さで決めてるなんて…。言えるはずもない。


『種類で言ったら、ストーリー重視だったりコメディ要素重視だったり、とにかく幅広いんだっ!』


長い言い訳。説得力は皆無といって相違ないものだったと思うが…


『なるほど〜…意外と深いんだね。じゃあ、私もやってみたいなっ!その…エロゲ?っていうのっ!』


『えっ?』


『ダメかな…っ?』


その頼み方、慣れることは一生ないんじゃないだろうか…可愛さで催眠術かけられたみたいになるわ。第一、彼女とエロゲやるなんてシュチュエーション、ちょっと憧れてたくらいだもんなぁ…。


『わ、分かったっ。分かったからその上目遣いやめてっ。俺が気絶しちゃうから。』


『う、うんっ!分かったよっ!』


あ〜絶対に分かってないわ……ちょっとずつでも耐性つけなきゃな…まぁ、今はそれどころじゃない。


『ふぅっ…ただし、今日はラノベ読もう?このままじゃ、いつまでも一緒に読めなくなっちゃうよ?』


『そ、それもそうだねっ!じゃあまた次来た時にするっ♪』


『うんっ、そうしよう。すぐ部屋行くから、先に待ってて。』


『うんっ♪分かったーっ!』


階段を上機嫌で登っていく俺の彼女。やっぱ…とんでもなく可愛いな…。仮デートの時も、今も、俺のために服に気をつかってるとしたらすごく嬉しいな…。むしろ俺が気をつかいすぎてないだけなのかもしれないな…。


『さてと…』


俺は携帯から電話を掛ける。


『もしもーしっ。瑠璃でーすっ…』


『おい!姉ちゃ…』


『ただいま電話に出ることができませーんっ。ご用の方は発信音の後に用件どうぞーっ。』



『留守電かよっ!いつもは俺が電話出なかったら怒るくせにっ!矛盾してんぞっ!?』


仕方がないと思い、LaINを飛ばしておく…結構キレ気味に。


『おいっ!姉ちゃんっ!自分が受け取れない日にエロゲなんて届くようにしとくなよな!それならせめて事前に報告しとけよっ!』


てな感じにとりあえずこんな内容で。どうせ反応があるのは大体いつも2、3時間後だし。


さて…。


『かえちゃんを待たしてるし、ジュースとか用意して部屋に行かないと…』


そう思っていると…今更ながら。


『なんかドキドキしてきた…カッコ悪いぞ、俺。かえちゃんはいつも通りのテンションだったじゃないかっ。』


普段、マイペースなところもあるせいか意外と緊張感は感じられなかったので多分そうだと思う。


『あ、先にエロゲを姉ちゃんの部屋に持っていって…そんでラノベは俺の部屋に持っていかないとな。』


そうして、やることを終わらせてから彼女が待つ自分の部屋に向かった。




続くーー。



作者より…

『感想をお待ちしておりますm(_ _)m』

『よろしければ、レビューやフォローお願いいたします♪』




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