第12話 イチャついて、怯えて…
俺の部屋に入ってみると、目に入ってきた光景がとんでもなかった。
楓さん…俺のパソコン立ち上げて、ヘッドホンつけて、俺の秘蔵ファイルの中にある×××なシーン見て、よだれ垂らしてました………あー…うんっ。
『何やってんのーーっ!!!』
大声で叫んでしまったんですが、よほど大音量で聴いているんでしょうか、聞こえていないのです。しかも興奮したのでしょうか?声が…
『ふへへー…』
というような危ない感じでして。
声が届かないなら、と俺は咄嗟に楓さんの目を後ろから塞ぎました。
そしたらよくあるカップルのじゃれ合いと勘違いしたのでしょう。
『えーっ?もしかしてぇ〜っ、たっくんっ?』
という言葉を発してきました。
俺は心中で『今そんなシュチュエーションを求めてやってんじゃないわっ!』と言いつつ、彼女の目隠しを片手で続行しながらパソコンのスタートメニューを開いてシャットダウンまでもっていく。
そうまでしてようやく不満そうにヘッドホンを外した彼女の言葉に…
『もぉっ…いいところだったのに〜…なんで止めちゃうのっ?』
俺は…自然に出た溜め息と共にあらためて危ない子だと、悟ったのでした。
『かえちゃんっ、彼女さんが彼氏さんのお部屋を漁ってエッチな本とかパソコンのファイルとかを探すのは、ラノベとかアニメじゃよくあることだけどね?』
『うんっ。』
『流石にそれを見てハァハァって興奮してる彼女は色々とヤバイからやめようか。』
『うーっ…でもでも、私だって2次元の女の子がどんなエッチな声出すかとかどんな服着たりするかとか色々知りたいもんっ。』
『それならそう言ってからパソコン立ち上げてっ!?かえちゃんのさっきの姿は俺、頭が痛くなったから!もう壊れたのかと思ったよっ!?』
『ええっ…でもたっくんってスケベさんだから私も将来的に考えるとその分そういうことを学んでいかないとダメでしょ?』
『しょ、将来的に…確かにそうだけど。でも、それは…』
ごもっともだけど…というか将来的に俺と×××とか×××とかするつもりでいるってことかよっ!?マジかよ!?俺の
『というかたっくんっ。今更だけど、中学校の頃からたっくんのコレクション見てるんだからね?』
『へーっ……へっ?俺のコレクションっ?』
『だから、たっくんの好みも人一倍分かってるつもりだよっ♪ 高校生になってからの私はその好みに合わせるためにイメチェンして、たっくん好みの黒髪ロングにして…』
『…ちょっとだけ、話戻していい?』
『うんっ、なになにっ?』
『あ、いやそんな努力してくれてたのはすっごく嬉しいんだけれども。俺のコレクションを最初から見たり読んだりしてたの? えっ、最初から!?』
み、見られてた…? 俺の好みとか性癖とかが…幼馴染にずっとバレてたのっ!?やべぇ!死にてぇっ!
『うんっ、それを総合化したら黒髪ロングと巨乳は8割を占めてたよ? 私が巨乳になったのも、それを知ってから牛乳飲んだりおっぱいマッサージしたりしたから在るものなんだからっ♪』
『……。かえちゃんっ。こっち来て。』
お、怒られちゃうのかなっ…
俺は…彼女が愛おしすぎて、
彼女の身体をギュッと抱きしめた。
『わぁっ!?…た、たっくんっ?』
無我夢中で抱きしめる力を強めながら、耳元で優しく囁いた。
『大好きっ。』
『う、うんっ。私も大好きだよっ?』
そう言って、抱きしめ返してくれる。
(もう決めたっ…俺絶対、
両者ともに身体を離した後、俺は率直に質問を投げかけた。
『ねぇ、かえちゃんっ。おっぱいマッサージはいつから効果が出たの?』
ほんとは中2くらいから大きくなってるのを遠目から見てたのにわざわざ聞いてしまう俺は変態ですかね。
『中学2年生くらいかなぁ、大きくもなったし……その…感じるようにもなった…よ?』
『俺も手伝っていいっ?』
冗談っ。と言うつもりだったのに…
『たっくんなら……いい…よ…?』
とか言いながら、顔を赤面させて今着てるセーターを脱ごうとして…
『わーっ!待って冗談だからっ!脱いじゃダメっ!』
『えっ?じゃあ…パンツが見たいの?待ってね、今スカート脱いじゃ…』
『脱がないでくださいっ!俺の自我が保てないからっ!』
『むーっ…せっかく可愛い下着着けてきたのにーっ。』
なんの報告!?そんなこと言わないでっ!逆に気になるからっ!いや見ないけどっ!
『それよりほら、これ一緒に読むんでしょ?』
これ、とは仮デートの時に購入したラブコメのライトノベルである。
『うんっ♪じゃあたっくんっ、あの体制ね?』
『……あぁ…幸せで溺死するかも…。』
あの体制、いわゆる俺があぐらをかいて座り、その中に彼女が入ってきて密着する、いわゆる密着読書体制(命名したのはかえちゃん)である。密着するのは言わずもがな、いい香りもしてクラクラしてくる。
『にゃぁ♪たっくんに背中を預けるのもすごい久々だからドキドキしちゃうよーっ。』
こっちはドキドキでとどまっていないのです…楓さん。
『は、はいはい。とにかく今からは読者タイムっ!本に集中するのっ!』
そうこうしながらも、俺たちは読み終わるまでその本に釘付けだった。正直、最初はそれどころじゃなかったけどっ!
ーーー。
『うにゅーっ…面白かったけど、眠くなってきちゃったなぁ〜。』
『そっか、いいよ寝ちゃっても。』
『うーっ…でもたっくんと一緒に過ごす時間が無駄になっちゃうよ〜…』
『えいっ。』
『うにゃっ!』
俺は人差し指でおでこを軽く突っついた。
『た、たっくんっ!』
『あははっ、ごめんっ。でもそんなこと気にしないのっ。これからもずっと一緒にいるんでしょ?』
あ、俺すげぇ恥ずかしいこと言った。
『…うんっ♪たっくん大好きっ♪』
抱きしめられたっ。やっぱ心臓がバクバクしちゃうわ、これ。
ーーー。
かえちゃんが俺のベッドで眠りについてすぐ、インターホンが鳴ったので玄関まで赴く。
『はーい。』
『やっほーっ、拓真くんっ。』
『こんにちはですっ、先輩っ。』
『こんにちは、どうしたの二人とも。』
『もうっ先輩ってば大事なこと忘れてませんかっ?私と先輩で約束したことがあるじゃないですかっ。』
『うーんと…もしかしてアレ?部活を創るとかどうとかっていう。』
『わあっ!先輩ってば意外と記憶力いいんですねっ。』
『お〜っ?ちょっと失礼だぞ〜?』
そう言って、俺は栞ちゃんに軽〜くデコピンする。
『うにゃぁ!』
『あはは、今のは栞ちゃんが悪かったと思うなぁ。』
『先輩はどうしたの?』
『あ、私は楓がいるかなぁと思って遊びに来たの。』
(本当は拓真くんに会いたいだけだったんだけど、栞ちゃんも一緒だし…バ、バレてないよね…?)
『まぁとにかく上がってよ。』
『おじゃましまーすっ』
『会長さんと何してたんですかっ?』
『確かに気になるねっ。』
『いや、なんでそんな食い気味なのっ!?』
『だーって…ねぇ?』
いやいや、2人揃って言われましてもっ!というか、やましいことしてないんだから言っちゃえばいいだろ。でも…もししてたらやばかった…気を付けないと…!
『いや、普通に遊んでただけだってば。さっきまで一緒にラノベ読んでてさ、楓姉ってば疲れて寝ちゃったんだよ。』
『そうなのっ?もうっ、あの子ってば時間が勿体ないと思わないのかしらっ。せっかく遊びに来てるのにーっ。』
『あはは、まぁ小さい頃からずっと一緒ですから、関係が戻り始めたから安心したんじゃないんですかね。』
『むーっ…』
『えっ?』
な、なんでそんな頰を膨らませるのっ?可愛過ぎるからやめてくださいっ!
『敬語っ…戻ってるっ。』
『あぁ!ごめんなさっ…ご、ごめんっ!先輩っ!気をつけるからそんな不機嫌になんないでっ!』
『次からは何かペナルティを受けてもらおっかなぁー♪』
『か、勘弁してよーっ!』
遡ること去年の文化祭。ある出来事から先輩に貸しを作っていたため頼み事があると言われたのだが……悪い予感も見事に的中し、女装する羽目になってしまったのだ。もう見事なまでに笑いの的にされたものだ…
『あはーっ♪そんなこともあったねーっ。でゅふふっ♪』
『気持ち悪い笑い方しないでっ!ホントに恥ずかったんだよっ!?』
『ご、ごめんねっ。もうしないからっ。許してっ?』
『はぁ…わかったよっ。』
『……終わりましたかー?』
『『ピィッ!?』』
2人揃って驚いてしまうっ。だって栞ちゃんも一緒だって忘れたみたいな会話してたからさ、なんか栞ちゃんからオーラが見える…
『先輩、そろそろ私の話を聞いてもらいますねっ?』
『と、とりあえずリビングに行こうよっ?お茶も出してないしさっ。い、いやっ!待って逃げないからっ!どっから持ってきたんだそんなのっ!?』
『自前ですっ…♪』
待て待て待て待てっ!?それクロスボウじゃねぇか!?海外ドラマじゃないんだからそんなの反則っしょ!?
『カバンの中に入ってたのって…ソレ…?』
『あー、あと替えの矢が15本ですねっ♪』
『わかったっ。とりあえず座ってください、お茶を出しますから、部長もしっかりとこなしてみせますから、とにかく……殺さないでぇぇぇぇ!!!』
かなり鈍感な俺でも分かる…。この2人は確実に俺を狙ってる。そんで、1つ1つの動きに過敏になっている。話を始める前のお茶とお茶菓子の準備の時、手が震えていたのは言うまでもなかったっ。
クロスボウっ……なんて…こんなの…ラノベでもアニメでもなかった…よね…?
続くーー。
作者より…
『感想をお待ちしておりますm(_ _)m』
『よろしければ、レビューやフォローお願いいたします♪』
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