第126話 後悔 3

「桂壱のところだよ。俺、最後にあいつと目が合ったんだ。時系列はバラバラだけど多分、あいつはあの時に俺のことを知ったんだと思う。それで文化祭のときについて来た……」


あごに指をえながら、萌は高速で思考をまとめている様だった。

恵一には、事情が全く見えて来ない。けれどそれはつまり、こう言うことだった。


「お前、やっぱり寝てる間に何か見たんだな?」


「ああ。岡山を殺したのは桂壱の弟の星弐せいじだ。夢の中でえたからわかる。…兄さん、車が事故ったとき、自分がラジオ聞いてたの覚えてる?」


「ラジオ?……いつも聞いてるけど」


時間は有効に使いたい。外回りの最中にも時事問題や世の中の流行に触れたいからと普段からドライブ中にはラジオアプリを聞いていた。


「今気づいたんだ。あのとき時報が鳴る前に、男性の転落死のニュースが流れてた」

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