第78話 Precognition 7
「は?」
何でいきなりそんなこと聞くんだと言う顔で瀬口が尋ねる。
「アレクシ。説明をかっ飛ばすのはお前の悪い癖だぞ。自分だけ納得して進めないでくれよ」
「もう、セグチ。あの子をモエに見てもらいたいからだよ。僕の力はモエ相手には使えないみたいだ。能力者同士だとこういうことがよくあるんだよ。で、どうなの?ちなみに僕は見る専門」
「私、棒人間しか描けないわ」
「私も似た様なものだ」
「Quel dommage,SEGUCHI」
「おい今、悪口言っただろう。何となくわかるからな」
「今のところ、この子が一番の手がかりだ。それに、早く見つけないと危険だよ」
それはアレクシが感じたままを見せてもらった恵一にもよく理解できた。
ただ単に自分の身体が今、絶対安静が 必要な状態だからだけではない。
アレクシが少年の姿と共に伝えてきた感情のようなものが、どこまでも暗く、底が知れなかったからだ。
それは、感覚的なもので上手く言葉にできないが、こんな精神状態の人間を野放しにしておくのはどう考えても危険だ。
「なるべく身内がいい。口が固くて絵が上手い人、知らない?」
萌がぽつりと言った。
「京平」
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