第74話 Precognition 2

離れたところから、

「お前、何でいるんだ⁈」と、焦った声が聞こえる。

バタバタと言う複数の足音の後、今度は同じドアから二人の男が現れた。

一人は中年で、もう一人は若い。


「セグチ、遅いよ。何してたの?」


「はぁ?」


セグチと呼ばれた中年男性は呆れる以前に唖然としていた。

頭を抱えているところを覗き込むようにして、萌がセグチに尋ねる。


「もしかして、リョウマのお父さんですか?」


すると、男の方も萌に気がついた。


「もしかして…萌くん?」


「はい」


「うちのリョウマがいつもお世話になっています。挨拶が遅れてすみませんでした。リョウマの父の瀬口です」


瀬口は丁寧にそう言って室内に目を巡らせ、めぐみにも頭を下げた。


(ああ、この人がさっき電話した警察官の……)


親同士も互いに挨拶を交わし終わったタイミングで、アレクシを見つめながらめぐみが尋ねる。


「あの、こちらの方は…」


「すぐに帰らせます」


瀬口はそう言ったが、それだけでは流石に説明が足りないと思ったようで申し訳なさそうに付け加えた。


「本当にすみません。今、うちで預かっている者なんです。一応、国は違いますが警察関係者のようなものでして。何かご迷惑をおかけしませんでしたか」


「いいえ、迷惑だなんて。ただ」


「そうだよ、失礼な。セグチだけじゃ解決できなそうだから来てあげたんだよ?」


「……リョウマか?」


「あの子が僕みたいなのに友達のことペラペラ話すわけないよ。父親ならわかると思うけどね」


「また勝手に視たんだな…」


瀬口は小さなため息をつく。


「あのー……」


話がさっぱり見えず、めぐみがそろそろと割って入った。

萌の眉間にもシワが寄る。


「失礼しました」


瀬口は何から説明したら良いのか戸惑っている様子だ。


「わかってくれるよ」


アレクシが萌を見て微笑みながら言った。


「僕はモエの同類だからね」

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