第69話 灰の瞳の青年 7

それから暫く、黙ってテレビを見つめた。下部の時刻表示だけが刻々と進んで行くだけで、画面には何の変化もない。

しかし、もうすぐ一分経つかと言うところでそれは起こった。


「真っ黒……」


テレビ画面が急に暗転したのだ。

何も映っていない。

慌ててテレビと同期されたパソコンのウィンドウを見て見るが、こちらも同じ状態だ。


けれど、他のカメラからの映像は生きていた。

パソコンに表示される沢山の四角いウィンドウの内、ひとつだけぽっかりと穴が空いたように抜けている。

恵一の病室を捉えたカメラの様子だけがおかしいのだ。


(何が起こったんだ?)


突然のことで訳がわからない。


「萌!テレビの画面が戻ったよ」


めぐみの声に顔を上げた恵一が再びテレビを見ると、確かにカメラは正常に作動するようになっていた。

けれど。


「ドア開いてる…」


暗転する前まで閉まっていたはずの病室のドアが開いていた。

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