第38話 奇妙な夢 7

その後、岡山の写真が見つからないか一応ネットで探してみた。


ニュースで報道されないかテレビでチェックもしたが結局、携帯のニュースで得られた以上の情報は得られずじまいで、何となく予想はしていたがそのままテレビゲームへともつれ込んだ。


カートにカメをぶつけたり、バナナの皮で滑らせあったりして遊ぶこと2時間半。

4時になってしまおうかという時点で京平から諦めに似た提案があった。


「テスト勉するか…」


「…だな」


「テスト1日目の科目って数学と何だっけ」


「萌さっき写メってたよな。LINEに載っけてよ」


テストの日程は決まり次第、教室後ろの黒板に張り出される。

苦手科目が何日目にあるのかで試験勉強の戦略が大きく変わってくるため萌達にとっては極めて重要な情報だ。


「ちょっと待って」

ポケットからスマホを取り出したときだった。


-リーン…


ストラップがまた、壊れた。

取れた鈴が床に転がる。


「あ、またかよ。萌、昨日直したばっかりなのにな」


「もう、それ外してしまっといたほうが良いんじゃないか。いつか無くしそうだろ」


笑いながら京平とリョウマが言う。


しかし、このとき二人が言ったことは萌の耳には入っていなかった。



萌の五感はこの先起こる未来に向いていた。


車の中、血まみれで横たわる恵一が視える。

両肩は力なく垂れ下がり、フロントガラスは割れてぐにゃりと凹んでいる。

動くものの居なくなった車の中でラジオが不気味なほど明るく4時になったことを知らせはじめる。



「おい、萌!どうした⁈」

京平に両肩を掴まれ振り向かされた萌は蒼白な顔で呟いた。


「……間に合わなかった」

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