第37話 奇妙な夢 6

岡山おかやま遥斗はると…」

さっきの夢の男もハルトだった。

年齢も、この、亡くなった教員くらいだったと思う。


「この岡山って人の写真って出てる?」


「いや、まだ報道されてねえよ。まさか知り合い?」

京平とは長い間学校が一緒だったので、交友関係も似ている。

もしかしたら自分も知っている相手だろうかと考えているような顔で聞いてきた。


「いや、違うけど。ちょっと気になって」


萌の言葉を聞いてリョウマが話し出した。

「うち母ちゃん教師でさ。今年の4月から南ヶ丘に勤めてんだけど–」


「え、マジ?そうなんだ。意外」


「うん。よくトラック運転手の息子っぽいのにって言われる」


何だか多方面に失礼な言われようだが、何となくわかる気もする。


「ちなみに親父は警察官だよ」


「「意外」」


「で、母ちゃんから聞いたんだけど、岡山先生結構イケメンだったみたいだぞ。女子がショック受けてるって」

可哀想になとリョウマが呟く。


夢の中のあの男は「イケメン」だっただろうか。

もともと人の顔の造作を特に気にせず人付き合いをしている萌には判断がつかなかった。


「もうネットで写真出回ってるって噂だぞ。でも、さっきから探してるんだけど全然見つからねーんだよな」


「また、詳しいことが分かり次第報道されるだろ」


京平の言葉に萌も頷く。

ざっと記事を読んだだけでも気になる点は多くある。


「南ヶ丘の教師なのに、遺体が発見されたのは新宿三丁目っておかしくないか?」

そんな遠くから神奈川県内の高校に通勤していたのか?


「だよな。この人独身らしいし、住んでたのも県内らしいぞ」


「何でそのマンションから飛び降りたんだろうな」


「彼女がそこに住んでたんだけど、振られちゃってショックで飛び降りたとか?」


考えてもわからないが何だか妙な引っかかりを覚えた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る