第31話 なんか変なフェロモン 7

今日からテスト週間に入るため、放課後の部活動は禁止だ。来週のテストに備えて早帰りが始まる。

昼休み、弁当を食べながら萌たちは学校が終わった後、三人で勉強をする約束をした。

全員の家が学校からそう遠くないので、テストまでの一週間、土日も含めそれぞれの家をローテーションしながら勉強会を開くことになったのだ。


「じゃあ、一旦家帰って、数Iの教科書持ってお前ん家行くな」

「俺も〜」

「おう」


今日は京平とリョウマが萌の家に来ることになっている。

リョウマが数学の赤点常習犯なので、今は手元に無いが数学の問題集から取り掛かることになった。


「萌の母ちゃん家に居る?」


「さぁ、どうだろ?ケーキ屋のパート無ければ居ると思うけど…」


「居てくれ〜」

朝に見せた恵一の写真の威力は絶大だったらしい。

「お前なー」

呆れた顔の京平が空のペットボトルでリョウマの頭をポカポカと殴る。

逃げるリョウマを追いかけるようにして下駄箱まで走り、そこで一旦解散となった。


***

自宅まで自転車で20分程かかる。

丁度、学校を真ん中に挟んで南北に別れた同じ様な距離に家と駅があるので、萌は学校を出ると、駅の方に背を向け、山に向かって坂道を登り帰宅する毎日を送っていた。

そのせいか入学当初よりふくらはぎが立派になった気がする。


家に着くと、母のめぐみはまだ帰っていないようだった。

とりあえず、今日二人が来ることをLINEする。おおらかな母なので事後報告でも大丈夫とは思うが。


リョウマは萌の家を知らないので学校で京平と合流することになっている。二人が来るまでもう少しかかりそうなので、萌は仮眠をとることにした。

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