ある日、家の者が神隠しに遭ってしまう。その昔、主人公蝶子の曾祖母をさらったというくすの木の根元には弟、春虫の守鈴と傷ついた青虫化生。死にかけの青虫化生に血と「アオ」という名前を与え、使役する。
一年の後、一人だけ助かった蝶子は弟が働いていた対あやかしの専門機関、神御寮に入る。
神御寮からの仕事をこなすためにアオに化生を斬らせる事に罪悪感をいだきつつも、弟を探すという目的のためにやめさせることはできない。
アオの、化生の本能からの「蝶子をたべたい」という欲求。そして蝶子を大事にしているからこその「たべたくない、蝶子を失いたくない」という思い。この葛藤の描写にたまらなく胸を打たれます。
そして、病弱な体に無理を押してアオを助けようとするひたむきな蝶子がとても可愛らしいです。
神様と化生と人間と。この三つのものが存在する世界での少女御寮員の戦いと淡い恋の物語。これはそんなお話です。