博士「ポップコーンを作るのです」 助手「これは期待できますね」

五条ダン

博士「ポップコーンを作るのです」 助手「これは期待できますね」

博士「カレーライスばかりは飽きたのです。我々はグルメなので」


助手「ですね。そろそろ新しい料理に挑戦する頃合いなのです。かばんがいなくてもやってみせますよ。我々はかしこいので」


博士「かしこい我々は、ラッキービーストの目をかいくぐり、ジャパリまん工場から《業務用ポップコーン原料豆5.0kg》をチョイです」


助手「チョイチョイです」


博士「そしてありったけの油と塩を用意したのです。あとはこれをぜんぶ大鍋にぶっこんで、火にかければポップコーンができるのです。今日こそはポップコーンをいただきますですよ」


助手「なのです。さあ、ヒグマ。薪に火をつけるのです」


ヒグマ「えぇ、わたしかよ」


キンシコウ「ヒグマさん、いつもおつかれさまです……」



【十分後】


大鍋(シーン……)


助手「変化がありませんね。白くてフワフワの料理になると本には書いていたのですが。ヒグマ、火はちゃんと強火にしたのですか」


ヒグマ「やってるぞ!」



【二十分後】


大鍋(グツグツ……)


博士「トウモロコシの良い薫りなのです。そろそろ、来るのです」


助手「我々は待ちきれないのです。はやくポップコーンに変わるのです」


大鍋(ガタガタ……バンッ!!……パチンッ!!!……ボコンッ!!!!)


博士・助手・ヒグマ「……っ!??????!?」


大鍋(ガタンガタン……ドカンッ!!……ボコンッ!!!……バコオオォォンッ!!!! バコオオオオオオォォンッ!!!!!)


ヒグマ「ひっ、な、なんだこの音は!? そんなこけおどし、こ、怖くないぞ」


リカオン「大変です。キンシコウさんがショックで気絶してます!」


ヒグマ「おのれセルリアンめ!!!」


大鍋(プシュゥ……ガタガタ)


助手「は、博士。どうしてそんなに細くなっているのですか」


博士「こ、これはお腹を空かせるための準備運動ですよ。助手こそそんなに震えてどうしたのですか」


助手「ふ、震えてなんかいないのです。食べるのが待ち切れなくて、胃袋がピョンピョン飛び跳ねているだけです」


博士「とにかく、このままでは近づくこともできないのです。一旦、火を消したほうが良いですね」


助手「ですね。ヒグマ、鍋の火を消すのですよ」


リカオン「あのぅ、ヒグマさんは気絶したキンシコウさんを抱えて、森に行ってしまいました」


大鍋(ガタガタ…ポップコーン!! プシュー…ポップコーン!!!)


助手「はぁ、ポンコツだらけなのです。まったく」


博士「リカオン、おまえは遊園地に行って、みんなを呼んでくるです。ポップコーンが暴走したとあっては、パークの危機なのです」


リカオン「わ、わかりましたっ」



【さらに二十分後】


大鍋(ガタガタ…ボコーン!! プシュッコーン!!! ゴボゴボゴボボボボッコーン!!!!)


博士「はわわ、止まる気配がないのです。鍋からポップコーンがあふれ出して来たのです」


助手「やはり油をぜんぶ入れてしまったのはマズかったのでは」


博士「原料豆を一袋ぜんぶ入れようと言ったのは助手の方なのですよ」


リカオン「博士さーん、救援を呼んできましたよー」



オグロプレーリードッグ「穴掘りは任せるであります!」


スナネコ「わあ、すごいですね、なんですかこれ」


キタキツネ「ボク、はやく帰ってゲームしたい」


コツメカワウソ「わーい。たーのしー」


フンボルトペンギン「ふるるー!」



助手「くっ……よりにもよって何故このメンバーを……」


博士「仕方がありませんね。何とかして打開策を……」


大鍋(ジュワァァァアア………ドドドッドッドッ……ボゴオオオォォォォォン!!)


助手「鍋からこぼれた油に火がついたのです! 博士、もう時間が」


博士「みんな、今こそ我々の群れとしての強さ、ポップコーンに見せつけてやるのです!!」


みんな「おおー!!!」


博士「スナネコ、プレーリードッグは火に向かって砂をかけるのです。カワウソ、キタキツネ、フルルは桶で水を運ぶのをお願いするです」


オグロプレーリードッグ「うおー、穴掘り、燃えてきたでありますぅ!!」


助手「ちょっ、火は逆方向なのです。それにそんなに深く掘り進める必要は……」


オグロプレーリードッグ「たっけてー! たっけてー!」


スナネコ「フフフフフーン♪ フフフフーン♪ ふぅ、まんぞく。今日はここまでにしておくです」


助手「スナネコ待つのです」



大鍋(ポップポップコオオオォォォォォン!!)


キタキツネ「おひさま、ぽかぽか。ボク、ごろごろ」


コツメカワウソ「桶に入って遊ぶのたーのしー」


フンボルトペンギン「ふるるー」


博士「こちらもダメそうなのです」



大鍋(ポップコーン!! ポップコ-ン!! オイシイヨ!!!)


助手「博士。我々は今まで、皆に頼りすぎていたのかもしれません」


博士「そうですね。パークのおさとして皆に知恵を授けてはきましたが、我々も皆に多く助けられていたのです。今回は反省ですね」


助手「反省なのです」


博士「元は我々が蒔いた種。ここは我々だけで何とかするですよ」


助手「ですね。おそらく空中からなら、火に近づかずに消火できるはずなのです」



【数日後――ジャパリパーク遊園地広場】


アリツカゲラ「博士がみんなを呼び集めるって珍しいですね」


アミメキリン「事件の匂いがするわ。ここは名探偵アミメキリンの出番ね!」


助手「一同静粛に」


博士「今日はみんな集まってくれてありがとうなのです。我々、今までパークの長をやってきましたが、みんなにはいろいろと助けられたのです。今日はその感謝の気持ちとして、我々の作った料理をごちそうするです」


助手「我々はヒトと違って、長話は得意でないので」


博士「さっそく皆で食べるのですよ」


助手「レッツ、ポップコーンパーティー!!なのです!」



フレンズ達の盛大な拍手で、ポップコーンパーティーは始まった。ジャパリパークは今日も、ドッタンバッタン大騒ぎ。



(おわり)

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博士「ポップコーンを作るのです」 助手「これは期待できますね」 五条ダン @tokimaki

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