お仕事のお誘い

五月に入ったある日、旦那さんが「電話だよ!」とカタカナ名の会社の名前と共に私に言った。。一瞬誰だかわかりませんでした。電話を替わると聞き覚えのある会社名。。で、すぐに分かりました。。調理補助の午後のパート。。最後にお仕事した会社でした。。初老の落ち着いた話し方をする紳士はその会社の人事部長の石橋と名のっておられた。。

「あの時は大変失礼いたしました。。」と言うのです。。

「実は、あの時、事業所の新人が相次いで辞めてしまう。。という事で事情を教育係に聞くと、とにかく入ってくる新人の質が悪い。私にばかり任せないで社員も協力してほしいと要請があり、社員も数週間現場に入っておりました。。そんな時北尾さんが入ってこられたのです。北尾さんの仕事ぶりを見ていて、初日から戦力になるほど仕事を熟知しておられた。。仲間とも仲良く元気にお仕事されているのを確認して安心して私どもは引き上げました。。ところがあれからすぐに退社されている。。会社としてはこれはどういうことなのか?と所長に聞き、調べたところ、あのような失礼な事が起こっていたと驚きました。」聞けばすぐに私の仕事先を模索したらしいです。しかし、今度こそ問題を抱えた事業所ではなく健全に働ける場所をと考えていて時間がかかってしまった事。今度こそ自信を持ってお勧めできる事業所である事。会社としては私のような人材を手放したくないという事。待遇、給与に関しても特別に計らう事。等を言って是非働いてほしいと言われました。。

話を聞いていて、非常に迷いました。。

私の目には奇跡が起き始めている事は感じていましたが、では?それが確実なのか?と言えばそうではありません。。もしかしたら仕事を始めた途端。又出血するのかもしれません。。ただ、調理補助の仕事と介護の仕事では正直言って調理補助の仕事の方が体力的には楽です。しかも給与面では初任者研修の資格ぐらいでは相場として同じくらいの給与という事になります。。その給与面でも待遇を変えると言われれば、目先の事を考えればこの会社で働いた方が目の為にも当面の給与を考えてもいい事ずくめという事になります。。まして、元の介護現場には豊田さんがいますので私は別の事業所から再スタートになるのです。どのみち一から仕事を覚えなおさねばなりません。。ただ一つの問題。。

調理補助の仕事では実務経験に加算されない。。三年後の国家試験を受けられないという事です。

私が若ければ、一旦介護現場を離れてせっかくのお誘いの仕事をして、体調を整えて、一~二年後から介護現場に戻るというのも悪くは無い。。しかし、仕事をしながら勉強をして、国家資格を取って実務を熟そうとするならば、今の私の年齢では遅いくらいなのです。

非常に残念でしたが、あれから事情が変わり、調理補助では実務経験に加算されないという理由でお断りしました。


石橋さんは非常に残念がられていましたが、又何か事情が変わってお仕事を探される事があれば連絡をくださいと言っておられました。。。


電話を切ると旦那さんが。。「仕事が出来すぎて辞めたって本当だったんだ。」って笑っていました。。昨年、彼は仕事を転々とする私の方に問題があるのではないか?って非常に心配していましたから。。{仕事の出来すぎ?}などを言う私の事が大丈夫なのか?と益々心配だったそうです。。

「はぁ~~有加がねぇ。。出来すぎだったんだ。。」としばらく私をからかっていました。。

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