ボーダー超え

翌朝水曜日、血圧を計ると上が166下が134。。。

薬が効かなくなったという事です。次の休みは金曜ですが、金曜は父のケアマネさんと会う日。勿論その後病院へは行けますが、それでは遅いような気がした。

但し、今日は病院が休診日。明日、残業無しにしてもらうしかないと考えました。

八時半出勤なのですが、朝のミーティングは八時二十分からです。

それに間に合うように八時十五分には到着していなければなりません。

まぁ、そんなことは私にとってどうでもいいことなのですが、ミーティングは概ね五分くらい、そして一便目の最初の車は八時半出発です。

この日の朝も私は送迎でした。ドライバー名を確認すると酒田さんで出発は八時半になっていて気が重かった。。

ミーティングでの事。。私の便のお二人目の利用者様が体調不良でお休みとなり、お一人目の方を吉田さんの便に回せそうで、そうなると私の便を十五分遅らせる事が出来ると豊田さんが言い出し、調整をしているうちにミーティングがきっちり十分かかってしまったのです。「北尾さんは出発まで事業所の準備を手伝って!」と言われたのですが、酒田さんは、車の中に居ます。車内飲食禁止なのですが、酒田さんは毎日ドリップしたコーヒーを持参していてミーティングには出席せず、車の中でコーヒーを飲んでいるのです。私は急いで酒田さんに時間変更を伝えねばと思って出入り口に差し掛かると。ものすごい勢いでドアが開き、「おい!遅せいぞ!さっさと来やがれ!」と私に怒鳴りつけました。

「時間が変更になったんです。」と私。。

「うるせい!俺は聞いてねえぞ!」

酒田さんは「豊田、何で時間変えるんだ!」等怒鳴り散らしながら中へ入っていき、今度は「もっと早くに知らせろ!」と捨て台詞吐いてこっちへ向かってきました。で私を睨みつけながら「四十五分出発!」とふてぶてしく言った後、ドアを壊れるかという勢いで思いっきり閉めて出ていきました。

まるでヨタモン!自分が神か!という態度。。私は嫌悪感と同時に父親を思い出し、うんざりするのです。

この時間、まだ利用者様はいません。

「酒田さんはどうしてああなんだろう。これじゃ私の血圧だって不安定になるわ!」と言うと、兼崎さんが、「あの人は変わりませんから。。」と言った。

確かに!と私は思った。

四十五分になってから、気の重い添乗です。でも、利用者様には関係ない。

私が冗談を言ったり、寄り添ったり、その方、その方に合わせて添乗していても、

酒田さんのイライラは伝わります。

「なんだ、ノロノロしやがって。」等、前を走ってる車に反応したり、時間調整と言ってハザード付けて止めて待つ癖に、走り出すと運転は猛スピードで荒っぽく、

散々な午前中でした。


この日の午後は体操の担当でした。

この頃使っていた音楽は殿様キングスの「恋は赤いバラ」


♪泣かせてマンボ(マンボ)

♪酔わせてマンボ(マンボ)

と詩のごとくマンボのリズムの曲。


椅子に座った状態での体操ですからそんなに難しい振りは付けませんがそれでもマンボっぽくなるように三パターン程振りを決めます。利用者様は完全に覚えきれませんから、私が合図の掛け声を決めておき、ほとんどの利用者様は私のやっているのを追いかけ体操します。「あ~覚えきれない!」「あっ!できない!」「でもできた!」そうやってハラハラする事も脳の活性化につながる訳です。緊張と弛緩の波があればあるほど、楽しくなります。で、私は歌いながら踊るように体操し、掛け声も出し、合図も送る。その大忙しの姿で利用者様が大笑いしてくれたりもします。ほとんどは最初に振りを見せながらカウントで、最後に一回、曲を流して、そこをピークに持って行って、今週の歌の歌詞カードをくばり、配っている間発声練習。。その時、その前の体操の振りを立って私が踊りながら発声の指示を出したりしますのでその様が又爆笑につながったりします。で、本当の最後にみんなで歌を歌って体操の時間が終わる訳です。


この日も順調に進んでいました。最後に曲を流してすぐに内田君が走ってきて音を極端に絞ったのです。

まずほとんどの利用者様が体操をやめました。でキョロキョロしだす。。

私は続行は無理だと判断して内田君がいた方の宇野さんが何か私にいいたげでしたので、「どうしたのですか?」と宇野さんに聞くと、宇野さんもいつもと違って焦っているようで、「ご利用者様が耳が痛いって。。。」で、何となく空気が読めました。体操担当としては何とか締めくくらねばなりません。

「すみません。。耳の痛い方がおられるようなので、今日の体操はあと少しだけクールダウンでやって、その後、歌をやりますが、私、声が大きいですから、今日は皆さんの日頃の成果を聴いててみたいと思います。皆さんは思いっきり歌ってくださいね。」と言って、少しだけリラックスできるような体操をして、皆さんに歌っていただいている間、私は歩き回りながらいろんな表情で指揮をして少々笑っていただき、終わらせました。まぁ咄嗟でしたのでこれが限界でした。

その後、宇野さんと出入り口付近で利用者様にわからないように事情を聞くと、

マッサージのリハビリ中、利用者様が「今日は耳が痛いの。」というのを内田君が聞いた途端走って行って音を絞ったらしく、宇野さんも慌てたそうです。

小池さんも通りかかり、「アレは無いよね」と言ってきました。「まるでトイレの呼び出し音消しに行くようにイライラしてたよね」と私が言うと、「見てた。。酷いよ。。俺から宮本さんに報告しとこうか?」と聞かれたのでお任せします。と言って各々仕事に戻りました。

仕事に戻る際血圧を計ると、上が223ありました。


この日の夕方の添乗は無く、その後、その耳が痛いという利用者様はカラオケを楽しまれていましたが、内田君はスピーカー側のお席のその方の耳を気遣うこともなく、ああ~たまたま小耳にはさんだ情報を利用して嫌がらせをしたんだなと思いました。この先どのように仕事をして行けば良いのか?血圧のコントロールはどのようにすれば良いのか?途方にくれました。

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