連続ダウン
酒田の一番の舎弟のもう一人、看護師の深澤君。。この人は、私がカラオケの時、皆さんを和ませようと、あっちのお席、こっちのお席と移動して歌っていた時、
「てめぇ、いい加減にしろよ。」と私の方に向かってきて、すれ違いざまに言った人です。後に、宮本さんに「てめぇ」とは言っていないと言ったそうですが、
「てめえ」であろうが「お前」であろうが、「あんた」であろうが、あの時の情景を思い出せば、私からしたら同じことです。
昨年秋、外での食事会があって、希望者を何日かに分けて行った時の事、深澤君が添乗介助の時「何食べてもいいんっすか!高いの頼もうかな~」等とても楽しそうでした。ところが帰ってくるとかなりご立腹!
聞けば、ある利用者様がお腹を壊していて、トイレ介助が大変だったとか?
「もう~やってられんないっす!あんな下痢。信じらんない。なんで休まないんだ。こっちはごちそう食べても吐きそうだった。~」と。。
傍には帰ってきたそのお腹を壊した利用者様がしょぼんと添わってその話を聞いているというのに。
他には食事全介助の方に無表情で「早く食べて!」とどんどん口に押し込む姿。
あれは食べていただいているのか?口からあふれさせているのか?どちらだったのでしょう。。
看護師の倫理ってそんなものなのか?違うでしょう!とがっかりしました。。
それでも、ある日の帰りに近所の店先で倒れている方を私と関本ちゃんで発見し、お店の方に救急車を呼んでもらい、事業所に戻り、「誰か救急車が来るまで手伝って。」と言ったら、深澤君がきびきびと動き、救急車が来るまでバイタルを計ったりその方のおズボンを緩めたりしている姿を見て、この人の良い面を垣間見たようで、この心根が残っていれば大丈夫と信じてもいました。
三週目の火曜、この日の朝の私の血圧は138と高め。。あれ?昨日の朝は110代だったのに。ちょっとスケジュールもハードだったのかな?くらいに思っていました。この日は私がフロアリーダーで、添乗が帰ってくるのを待ちながら、雑務に追われ、そんな中、斜め前にいる深澤君がとても不機嫌で、「はぁっ!」とか、「も~うっ!」とかぶつぶつ言いながらこっちを睨みつけています。{な、何?私に怒ってる?}と思ったものの、概ね機嫌の悪い深澤君の事ですから最初のうちは適当にやり過ごしました。この日、添乗が内田君とその他。。内田君が戻り、そのほかの添乗も順次戻ってきます。。添乗中は車内で利用者様にお断りしてからお鞄の中のビニールポーチを出させていただきます。その中に連絡帳とお薬が必要な方は小さいお薬ポーチ、マイお箸の方はお箸、食後の歯ブラシなどが入っています。
添乗員は添乗用のかごを用意していて、その中にポーチを入れます。その際、お箸を出してお薬ポーチも確認して出して、歯ブラシも連絡帳も出してかごに入れるのですが、他の方はご家族様からメッセージが書かれているか否かの確認だけで口頭で伝えれば良いのですが、私が添乗の場合のみ、前に書いた通り、口頭ではダメでそのメッセージのコピーまで取る事。そのほかに連絡帳には到着後、バイタルを看護婦が書きやすいように私が項目をノートに書く事、日付なども書き込むことに加えて簡単にお返事を書ける場合は車内でお返事を書く事。。など他の添乗員がしなくても良い事まで要求されていました。
利用者様が「何やってるの?」と私に聞くので、「ごめんなさい。書きながらでも口は動かせます。口から生まれてきたんだから~」なんて冗談を言うと、「他の人はそんな事してないよ~しゃべろうよ~」なんて言われます。私はすかさず「ごめなさいね~売れっ子だから!」と言うと、「わぁ~っ売れっ子なんだ~そうだね~」と笑っておしまいになるのですが。。
この日は私がリーダー、受け取ったかごの中身を私の作業するカウンターに出してすぐに空のかごを添乗に渡します。お薬はお薬かごに、お箸はお箸かご、歯ブラシは歯ブラシかご、空になったポーチはポーチカゴにまとめ、それらを確認の為、名簿ファイルにチェックを入れていきます。ところが、内田君のかごだけ無いのです。すでに次の便に出発していました。確認すると、内田君の便の利用者様の分だけ、何もかもお荷物に入りっぱなしな事がわかりました。そのままにしておくと入浴予定の方はお箸から薬まで何から何まで風呂介助担当の人に荷物ごと浴室にもっていかれてしまいます。お荷物は荷物棚にあります。急いで添乗スケジュール表を持って行き、内田君の便の利用者様のカバンを探し、中からポーチを出して振り分け、確認してチェックしてと。。。まぁてんてこ舞い!こんな時、私は優先順位という事を考えます。空になったポーチなんて丁寧にかごに入れている暇はありません。とりあえず入れる。整理は後で時間があった時にする。そうしないとリーダーはお昼のみそ汁の段取りや又全体も見ていないといけないのです。。
深澤さんはどうも空ポーチがきちんと整列されていない事に怒っているようでした。その後帰ってきた内田君と何やらコソコソ話。ああ~結託しているのかなと思いました。私が黙っていると、内田君が出て行ったあと、深澤君が、「まだ気が付かないんだ!まったく!」と言いながら「どいて!」と私の足元にある空ポーチのかごを持って行き、整理し始めました。「あ~やってらんない!」等、ぶつぶつ大きな声でいいながら。。。リーダーですから、掲示板にポーチの件と利用者様に聞こえるような暴言はやめましょうという事をを書き込みました。掲示板記録はコピーを縮小にしてとって介護記録に残しますから書いたものを消す事はできません。そこへ浜崎さんがやってきて、「ねぇ~遅くない?急がないと間に合わないよ」などと言って去りました。兼崎さんも来て、「慣れました?慣れてきたら利用者さんの処へ行ってお話相手になるのもリーダーの仕事です。頑張ってください。」と言いながら私を手伝ってくれました。内田君と深澤君はその後、掲示板を見て、二人目を目を合わせて、何やらコソコソ、ニヤニヤ話していました。
気にするまいと思いながら、あの時、私は気にしていたと思う。
午後は、酒田さんがめずらしく、フロアに入り込んできた。
車椅子の方でも両手で補助すれば歩いてトイレに行ける方も居ます。なるべくご自身の足で歩いていただく事が望ましいのですが、その日の体調や、朝から無理をさせたと思う時は歩いていただこうと思っても足が動かず、中刷り状態になる場合もある。その辺は利用者様の様子を見ながら、車いすを使う事もあるのです。
ある利用者様(ハルミさん)が午後になって足がもつれ始めました。
そこで、車いすを用意してトイレから戻ろうとした時、「おい北尾、何、甘やかしてんだ!歩かせろ!」今朝から散々歩いていただいている事、足がもつれ始めている事などを言って車椅子に移譲させようとしたら、「どきやがれ!」と私を押しのけ、「歩こうね~」といきなり利用者様に猫なで声をしだす。その前の酒田さんの恫喝的態度を利用者様は見ているのです。嫌だと意思表示できるはずが無い。「酒田さん!朝からの状態を知らないじゃないですか。車椅子で。。」と言うと、「うるせい!」と言って歩かせ始めてしまいました。これ以上言うと、もめ合っているようになってしまいます。見ると、ほとんど宙づり。この利用者様はわき腹の古傷でよく痛がります。私は急いで、後ろ側に付き、利用者様のお尻を支えました。
その後、この利用者様が私に向かって手で合図して呼ぶのです。どうしたいのか?探ると、わき腹が痛いという意思を伝えてきました。酒田さんはもう居ませんでしたから車いすでトイレに向かい、深澤君を呼びました。
どうもわき腹を痛がっています。と言うと、彼は利用者様に「セーター捲るよ!」とだけ言って、同意確認もせず、セーターをめくり、「どこ?どこが痛いの?」と抑揚のない言い方です。セーターを元に戻し、「気のせいじゃない?」とだけ言って去りました。
この日は私の血圧さえ計る事も忘れてしまうほど、悩みました。
私に対しての嫌がらせだけだったらいい。。私に関係なく勝手にイラついているだけでもまだいい。でも私を理由に完全に利用者様を巻き込んでいるではないか!心が痛くなりました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます