アップダウン

二月、週が明けて三週目の月曜、内田君と問題が!

彼はすぐにキレてしまう人で、私からしたらまだまだ若い男の子。実務経験は三年程です。キレるというのは仲間内への暴言に加えて、怒りを態度で示すような子です。例えば、利用者様がトイレから呼び出しボタンを押した時、たまたま近くの人が手が離せず、そんな時に彼がトイレに向かうとトイレの外側にある呼び出し音を消すスィッチを思いっきりたたきつけるようにして切ったりするのです。

傍にいる利用者様はとても怖がります。自分が口腔体操など人前でパフォ-マンスをする時だけは笑顔を作りますが、それ以外はほとんど笑わない。むしろふくれっ面をしていることが多く、噂では、添乗の時、利用者様と全くお話をせず、酒田ドライバーと組むことが多いのですが、酒田さんとしか話をしない。。と利用者様から聞きました。実は同期で入って辞めた中国の女性が辞めたのは内田君が最大の原因だったそうです。私には暴言までは言わないのですが、彼女には酷かったようで、彼女は涙をこぼしながら私に訴えていました。あの時、そうミーティングで宮本さんが先輩たちに叱責した後、。。内田君がまだ入ったばかりの私に聞いてきたことがあります。「僕の何処がいけないんでしょうね~。」と。。私は咄嗟に「あまり完璧を求めすぎない方がよいのかもね。」と答えました。

これは彼に対しての事であって、私が完璧を求めないというのでは無かったのですが、もしかしたら、私の言った言葉を穿って取れば、この人はいい加減な仕事をすればよいと思ってると決めつけられたのかもしれません。私としては彼のキレやすさは、自分ばかりで他者は何故かけつけない。。何故自分より先に行動しない。とした彼の窮屈な心に対してもっとファジーであれば。。。と思っての答えだったのですが。。しかし、私の反省としてはあの当時私は入ったばかり!そんな質問をされても、「よくわからないわ!」と答えておくことが良かったのかもしれません。まぁ、こうやって書いていて、今思えばという事なのですが。。。


この日、彼がフロアリーダーで、私は朝から添乗でした。

息子さんと暮らしていらっしゃるご利用者様で、当然お迎えに行った時、息子さんは出社されていて居ません。このご利用者様がなかなかお家のカギをあけてくれなのです。ダイヤル鍵式のボックスというのがあってそこに合いカギが入っている事は知っていますし、何度もそういったトラブルが起きていますのでダイヤルの番号は分かっているのですが、それでもその番号を息子さんに電話で聞いてからでないと解錠してはいけないと決まりがあって、連絡を取るのですが、その後のご利用者様のご様子(無事に事業所まで向かっています。ご安心くださいといった様子)を車内からお電話しているのですが、あちらも何度も電話ではお仕事にならないのでしょう。この日はお返事はメールでお願いします。と言われました。実は車に乗ってメールなど打ち込んでいると私は車に酔ってしまいます。なので、事業所に電話をして、無事に向かっていますからそちらからメールしてくださいとお願いしました。。。電話に出たのは兼崎さんでした。

戻ってきて内田君がリーダーですから、話が通っているのか?確認したかったのですが、内田君の姿が見当たらなく、兼崎さんも手が離せないようでしたので、私は次の添乗が差し迫っていましたのでそのまま次の出発をしました。すると、私の持つ携帯に息子さんからメールが来たのです。「いつもご迷惑をかけて申し訳ありません。」といった挨拶文でした。。もし、事業所からのメールに対する返信であれば、事業所にメールが行く筈!私の持つ携帯にショートメールが届いたという事はもしかしたら、まだ事業所からはメールしていないのかもしれないと思いました。で、事業所へ電話して、偶然又兼崎さんが出ましたのでその旨伝えました。。「ああ~~内田君にはまだ伝えてない。。それにまだ息子さんにはメールしてない。これから伝えます。」との事だったのです。この二便で向かった最後のご利用者様からお貸ししたズボンを返していただき、事業所へ戻った時の事。。

内田君を見つけましたので、メールしていただけましたか?と聞くと、「向こうからメール来たんでしょ?こちらからする必要は無い。」と返されました。「否、こちらから一度もその後をお知らせしていないならした方が良いのでは?」と言うと、「そんな事よりその返してもらったズボンの処理の方が先でしょ。忘れてるんですか!」といきなり切れで怒鳴られました。これは割と近くに居る男性利用者様に聞こえたようで、二名ほど振り向くほどでした。それを察知した内田君は「メールは必要ありません。」ともう一度言って、プィっとどこかへ行ってしまいました。

丁度兼崎さんが通りかかったので相談。「メールはしなきゃいけません。ごめんね。私が今からします。北尾さん急いでズボン処理して次の出発があるんだから。。」と言ってくれて「ありがとう。」と言いおいて私は急ぎました。

まぁ~やれやれといったところなのですが、添乗もすべて終わり血圧を計ると190代だった事を今でも覚えています。


さて。。この日の夜。。

訪問介護トライの為、いろんな事業所に電話をかけまくっていましたが、

決定権は無いものの介護士の方が電話に出て簡単に話を聞いてもらって、日曜だけ、一件かに件希望という事を言った途端、面接無しで断られ状態だった。

ただ、何度かけてもタイミングが悪く、転送で本社の事務方の人にしか繋がらない事業所がありました。おそらく私が電話出来るのは平日お休み日はセミナーで全く電話できませんでしたから、勤務中の昼休みに限定されてしまっていたせいもあったと思います。

あまりにタイミングが悪い事が重なるので相手の方が気になさって、平日の夕方ごろかけられる日は無いですか?と聞かれ、夜ではダメですか?と聞くとあちらから電話してくださる事になり、逆に時間帯を聞いてくださって、七時過ぎればいつでもいいです。と答えておいた事もすっかり忘れていました。。


この日の夜、電話をかけてくださったのはその訪問介護事務所の所長さんでした。女性の方でとても丁寧に私の話を聞いてくださって、結果は決定。。

「たとえ一件でもそうやって向上心のある方にやってもらいたい。あなたのような方にやってもらいたいのです。それと今の事業所に対してお礼奉公をしなければならない。という心根も素晴らしい。」という事でした。

「まだ面接もしていないのに良いのですか?」と聞くと、「勿論お会いします。それと有資格者でも最初に丸一日こちらで定める研修もうけてもらいます。これにはお給料は出ませんが、あなたがいつも行くセミナーのようなものです。勉強と思ってください。それでも今決定です。電話ででもあなたがどんな方かわかりますよ。」との事でした。二月中にお会いいできますか?と聞かれ、平日は全部予定がふさがっていました。三週目は父のケアマネさんに会わねばなりません。四週目の火曜は埼玉の方でセミナーです。日曜しか開いていない事を告げると、三月七日火曜に別の人の研修があるらしく、その日に契約と同時に研修を受けて翌週日曜から仕事と決まりました。。

天にも昇る嬉しさでした。。

又新しい利用者様と出会える。。そんなワクワクした気持ちでした。

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