恩師の姿

私の恩師は昭和のTV界の創成期を担ってきた人。

実家を出て自暴自棄になってどん底に落ちた、どこの馬の骨とも知れぬ私を拾い上げダンサーと言う仕事を通して私に生きる希望を与えてくれた命の恩人でもあります。その恩師も八十歳。色々辛い事もおありでしょう。

BSTVを見ていたらあるスターの一生を綴った番組に恩師が出て話していました。お話の内容は私には無関係の事でしたが、恩師が颯爽と話す姿を見て、嘗て、私にかけてくれた言葉や姿が重なって励まされる思いがしました。まぁ、ちょくちょく会ってはいるのですが。。改めてテレビで見るとそんな気がしたのです。


父が子供の頃から殴りながら私に言った「お前はダメな人間」

ボロボロになった私を拾った恩師が私に言った「ダメだと思っちゃいけないんだ」

私はあの時、息を吹き返したのです。

それでも、幼い子供である私に託した母親の遺言。。それによる父親の洗脳。。様々な虐待、そしてその後愛人になれなどと言う不条理な要求。あの時、もう少しで母の遺言に手が届きそうなところで全部をを捨てた事に後悔は無い。ただ、恩師の元で立ち向かっていた事だけは尊いのかもしれない。今、一日中笑顔でご利用者様に向かう事が出来る根幹の部分をこの恩師に叩き込まれていたような気がした。

お客様が利用者様に変わっただけであの時やっていた事が今、様々な側面で役立っている。母からの呪縛や、父からの洗脳。。考えたくも無いいろんな事。。それらとは質が違うのかもしれない。歌ったり、踊ったり、笑顔だったり、四の五の迷わずもっと素直になれば良いのかもしれない。全部を糧にすればいいのかもしれない。


私が予約を入れたセミナーは

一月の最後の二週。。「虐待を未然に防ぐ基礎講座」

         「医療と介護の連携の基礎講座」

二月 最初は   「手の治癒力」タッチングを見直そう

  次の週    「レビー小体認知症を知ろう」

確か三週目。。   「認知症総復習」

これに加えて二月初旬は高血圧の診察の為病院にも行かねばなりません。

ただ、日曜日に気になる講座があって。。

それは「音楽療法レクリエーション講座」

恩師の姿を見ていて迷っていたものが吹っ切れそうなので、思いきってこの講座にも申し込みました。どうせ、体操や歌をやるなら介護士の観点からポイントを押さえながら取り組む事も必要なのではないか?と考えたからです。

職場での環境は随分と変わりつつありました。後藤さん、吉田さんが変わってくれたことがキッカケで、お昼のパートさんの大半と気さくな関係に変わりました。

中でも、介護福祉士の資格までお持ちで家庭のご事情で短時間パートの大ベテランの佐野さんは最初厳しい方でしたが、それはちゃんと的を得ての私に対するアドバイスと思っていました。その方が私を随分と心配してくださって、「悩みがあったら話して!」と言ってくださった。。

浜崎さんからどっちのポジションでも私に多くの仕事を振られたおかげで、私は手際よく仕事をこなせるように鍛えられていきましたから、私が添乗で新人さんがリーダーと言う時、「北尾さんが添乗だととっても助かります。ありがとう。」と言われたりで特にほんの少しだけ私より後に入った友梨佳ちゃんは私とは娘程、歳の差がありますが、まるで友達のように接してくれます。

あの私がぶちキレた出来事の日、宮本さんにお願いしたのは「この職場だけだと私が壊れます。兼ねてから私は訪問介護もしてみたかった。ここでは添乗や、パフォーマンス的仕事ばかりでした。昨年からお風呂介助も入れて欲しいと何度かいいましたが叶いません。訪問介護をしても、お風呂は定期巡回風呂介護でしょうから、出来ないのは同じですが、訪問介護ならベッドや布団での移乗を経験出来たりします。最初は週に一日でもよいので、宮本さんのエリアを訪問介護できないか?」と相談していたのです。

その時、少し前に豊田さんから言われていたことも話しました。

「宮本さんから北尾さんにたまには風呂介助を入れてと言われたけれど、北尾さんは体が大きいから、利用者さんをケガさせないために僕の方でストップをかけていました。なので今後風呂介助に入れないから。だそうですよ。。」と言うと、

宮本さんは「それ、パワハラだよ。彼は何でそういうことを言うんだろう。」と言っていました。

しかし、豊田新所長の事はどかして、このように周りの環境が少しづつ変わってくると、私の心の中で迷いも生じてきました。

さしづめ、下駄を宮本さんに預けたのですからどうなるか?お任せしました。

それより、早くセミナーを受けたい!そんな気持ちでワクワクしていました。

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