仲間と利用者様、それぞれへの距離

学校二日とお仕事三日、一週間のこのスケジュールは私にとって救いとなっていきました。お仕事を始めて二か月、そろそろ、利用者様のお名前やそれぞれの人の特徴などほぼ覚えきり、又一日の流れみたいなものは徐々に把握し始めていました。

又、「北尾さん!休まないで!」などと言われる事も多くなり、学校があるのでしばらく 週に三日しか出られません。とお返事したりで、利用者様には私の事が好印象に映っているようでした。デイサービスの中でも、機能訓練が必要な方も結構いらっしゃいます。みんながみんな認知症と言う訳ではないのです。中には、「北尾さんが来て、ここは変わった。あなたが居ないと始まらないのよ。。」等とおっしゃってくれる。。ありがたいなと思いました。

学校がある事で救いになるというのは、仕事仲間との関係性の問題がちらつき始めていました。相変わらず、不条理に怒鳴られたり、それでも、ニコニコと、、それは、利用者様へだけではなく、さっき怒鳴られたり、小言を言われた人に対しても、そこは公衆の面前、目が合ったら、仲良さそうにニコッと笑って対処しました。要は仕事中、利用者様と接していようが居なかろうが、見られているという事を常に意識してお仕事をしたのです。

そんな日々の中で私に対する噂話を聞くことになります。

{あの人、まだ何もできない癖に利用者さんのご機嫌取りばかり!いっつもヘラヘラしてる。。}


私はこの時点でまだ資格持ちではありません。しかし、そういう事とは別で、どんな仕事でも、お給料をもらい始めた時からプロ意識というものは必要だと思っていました。何に一番重きを置くか?ここに居る仲間たちの何人かは何か大事な事を忘れていると感じていました。それにヘラヘラと映るその笑顔を作り出すのに、どれだけストレスがかかっているか?わからない人には分からないのだろう。。そんな残念な気持ちにモチベーションをあげてくれるのが学校での勉強だったから、救われている気がしたのです。

そんな中、私より一年先輩で、二か月早く資格を取った本橋君は歳の離れた弟のような年齢の人でしたが、彼がドライバーで私が添乗の時、利用者様が居ないタイミングでよく慰めてくれました。「北尾さん。よく我慢してますね。あんな奴らの事で悩まないでくださいね。」などと言ってくれるのです。もう一人は六年くらい資格無しで働いている少年みたいな中年{といってもわたしより年下}の彼(小池さん)も私の愚痴を聞いてくれる人でした。後は、女性でドライバーで入っている人なのですが、何故か介助も手伝わされている関本ちゃん。。彼女なんて私が早くに産めば娘みたいな年齢なのですが、早い時間にもう一つ仕事を掛け持ちしながら働いているパワフルシングルマザーでサバサバした気性がお互い気に入り、最初から仲良しでした。その関本ちゃんも私のみかたです。他には所長兼エリアマネージャーの宮本さん。この四人に支えられていました。丁度この頃、健康診断があったのですが、高血圧を指摘されました。前の職場での健康診断から丁度一年経っていましたが、あの後、張さんと言う所長に悩まされ、その後、二~三か月で午後の仕事を転々とし、現在の事業所での事。。と言う風にめまぐるしくストレスを感じた一年でした。高血圧といってもお薬開始かどうか?医者がまようレベルでもあった事と、過去に一度同じような数値の高血圧を自力で克服したという経緯がありましたので、私はしばらく様子を見る事にしたのです。

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