城壁都市のエネルギー生産
城壁都市は、A.D期で例えるところの水力・風力発電によって都市運営されていた。都市でもっとも標高の高い場所にある巨大建築物、
B.D3000頃、1区のみしか存在しなかった頃の城壁都市から、昼も夜も関係なく光が満ちる都市「不夜城」の名で通っていたことが周辺国外交資料から分かっており、古時代からすでにエネルギー生産能力を得ていた。
造築を重ねる前のもっとも古い王城の建築図面資料を読み解くと、エムロード湖から取水し、回転することでエネルギーを生産していた部屋を確認することができる。
当時の城壁都市の人口は2,000人を満たないと推測されるため、王城1基で十分にエネルギーを賄える。むしろ余剰が存在していたと考えるべきだ。
余りが出るのならば蓄積するなりすればよかろうと考えるのがA.D期の我々だが、B.D3000頃は大規模なエネルギー蓄積ができる技術や痕跡を発掘するには至っていない。
使わずにそのままエネルギー生産をし続けると、エネルギーは行き場を失い生産のための施設が故障、破損することになる。
特定の時間取水を止めるという方法を取った可能性もあるが、城壁都市の市民はその道を選ばずに昼夜問わずエネルギー生産を続け、夜の明かりとして余剰分を消費し、それゆえに古代城壁都市は不夜城と呼ばれたと考える。
古代において、光とは邪をはね除ける絶対的な力であった。
安全性を高め、時には夜間仕事を行うこともできる。のち円熟期の都市の生産力の高さ、夜にも賑やかな場であり続けた歴史の発端として、この時代から存在してきた特色のひとつとも言っていいだろう。
都市にエネルギーを蓄積する概念、我々の知るところでいうバッテリーに相当する「アンブ・エムロード」鉱石の名前が書物に登場するのは、B.D2100頃が最古とされる。
B.D1000~800頃になると都市は3区まで拡大され、周辺一の巨大都市となり、産業が発展しエネルギー不足に悩まされることになる。人口も爆発的に上昇し、1万人が暮らし旅人が行き来したと言われている。
この時のエネルギー不足を解消するために都市魔法院の研究により人工鉱石「ドラゴイエ」が生み出される。
ドラゴイエは現代もその破片が発掘されるが、国際取引は禁止されている都市の遺産のひとつだ。
石は透明感があり青から茶に色が揺れる変色ガラスのように見える。何層も地層が重なったような不思議な変色をしており、現代の技術で再現することが難しい。
A.D期、ハウゼーマン研究チームによるEDXRF(エネルギー分散型蛍光X線分光装置)の分析によると主要成分は酸化アルミニウム (Al2O3) 、Si(ケイ素)、K(カリウム) 、Cu(銅)など、複数の物質が確認され、生成過程に特殊な加工(有識者によるとドラゴンの分泌液やドラゴンブレスによる特殊加工)がされて仕上がった鉱石であると言われている。
この石は見た目のファンタジックで繊細な美しさに似合わず硬度が高く、衝撃を与えることによって内部にエネルギーを発生させる。
同研究チームによる衝撃実験結果では目を見張るような不思議な現状を見ることができる。ドラゴイエは衝撃を受けた瞬間、内部が液状化する。
時間をおけばまた固体化するが、決められたテンポで衝撃を与え続けることで、風・水車から得られるエネルギーを上回る、強いエネルギーを発生させる。
このエネルギーは水力・風力で生み出すエネルギーと同等に扱うことができ、都市環境に害もないことが実験から分かっている。
発生したエネルギーは定量化され、バッテリーであるアンブエムロードに蓄積することが可能で、同周波の鉱石にエネルギーを送ることができた。
つまりB.D期に無線充電技術が存在したということである!
ドラゴイエの発明により、水車、風車そしてもう一つのエネルギー生産を可能にした城壁都市はその後B.D300頃に全盛期を迎えることになる。
B.D300頃にはドラゴイエによるエネルギー生産は主要建築に組み込まれることが増えた。特に高低差が減り平原と接続する平地の多い4区は水車でのエネルギー生産力が落ち、風車・ドラゴイエによるエネルギー生産が常設となっていたことが発掘された遺跡でみてとれる。
円熟期であるB.D300も1区王城でのエネルギー生産が主体であることは変わらず重要な場所とされていたが、取水口も増えドラゴイエを併用したエネルギー生産の増加、造築される水車などにより都市の生活を強く支えたことが分かっている。
奴隷の存在を認めずに発展した背景には、自然と卓越した技術者・魔法使いたちによるエネルギー生産と保持が実現されていたためだろう。
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