城壁都市案内 AfterDragon

側衛官 ヴァレリー・ルイス 記録

側衛官記録

ドラゴンマスター グランヴェール 側衛官　ヴァレリー・ルイス 記録

8mars

我らが貴婦人（クラウンミル）号令。

号令の元、銀梨王リスシオワンにより壁前平原の歩兵3千、投石機の半数を破壊。

マスター・グランヴェール、ドラゴンベイン・ベオルフと対峙、左腕を負傷。

カンベリー衛生隊らによる治療班対応。治療班はどこも現在混乱を極める。

ドラゴンマスター部隊による壁内敵軍排除作戦決行。

ドラゴンマスター・クロード戦死と引き替えに、壁内敵軍侵入を排除する。

クロード側衛官アントワーヌ・ドボルジの無念計り知れず。

ドラゴンマスター・クロード騎竜のモーリス、慟哭に涙禁じ得ず。

キャトル・ボワチェ地区の城壁において氷結竜フールスキャップ、単独行動を起こす。人型をとり人語を解す。

内通者と共に侵入した敵精鋭40名を単独で排除。内通者は側衛官が捕縛するが自決。

フールスキャップ発言記録

「あのうるさい女をどうにかしないと、眠れないのはわかった(*1)」

氷結竜フールスキャップ、夜に紛れ見失う。カッシオーネ区隊アントニオにも目撃証言を取る。別紙氷結竜の補足に詳細を記す。

13mars

敵増援部隊5万到着。総数推定8万4千。敵戦意上昇。

総力戦の兆し濃厚。

ドラゴンマスター・ピッピ、グランヴェール。平原戦に出撃。

クロード側衛官アントワーヌ・ドボルジ、マスターの意思を継ぎモーリスと共に右翼奇襲。攻城塔側壁に穴。合成獣（キメイラ）施設破壊。

14mars

敵投石機によって側衛官アントワーヌ・ドボルジ亡骸戻る。当側衛官により、戦死を確認。ふたつに分けられた体を並べ弔う。敵国の亡骸の扱いの卑劣さ許し難い。

側衛官アントワーヌ・ドボルジは、殉死したドラゴンマスター・クロードのバッジを握りしめていたため、当側衛官はその意思を引き継ぎ、戦友アントワーヌの1級司書バッジと故クロードのバッジを継承する。アトランテス王国軍撃つべし。

ドラゴンマスター・ピッピ、平原左翼でドラゴンベイン・ベオルフと対峙。

騎竜した3区ヴァレリアン軽傷も、ドラゴンマスター・ピッピは竜冠を破損。

ドラゴンライダー・コランタン(*2) の助けを得て軽傷で14の鐘と共に3区へ帰投。

マスター・クランヴェールが一時旗手交代。

故クロード騎竜の1区モーリスの戦死を確認。

15の鐘と共にドラゴンマスター・ピッピ戻るも、マスター・クランヴェールの判断でギスラン医療班へ。(*3)

敵、全軍波打つようにして進行。総攻撃に移ったことを確認。

同時刻4区外壁、第15物見塔にフールスキャップ立ち、衆目の面前で人型をとる。

フールスキャップ発言

「ピッピと散歩したあの石畳を、ぼこぼこにしにくるやつはゆるさないし、寝床を騒がしくするのはもっと許さない」

フールスキャップ、ドラゴンの姿へ戻ると、敵攻城塔から伸びる新兵器を破壊。

飛翔し、敵左翼の弓兵6千をドラゴンブレスで一掃。

再び人型に戻ると、楽師姫（イーヒ）を単独で撃破するが、帰投中に砲撃を翼に受け負傷。

これまでの奇行に反した活躍に、氷結王の直系子である誇りと力強さを感じる。

15mars

敵巨人部隊と破城槌による城壁の破壊はじまる。4区アルモニック門破壊により絶対都市防圏である3区に再び迫るが壁上戦の猛攻により巨人兵の全排除。

絶望的状況回避のために、魔法院ではフィルマン交渉文が作成される。フュルベール公爵を大使に据えた交渉の組織はじまる。

天候悪化の中、敵軍動き鈍る。

ドラゴンマスター・グランヴェール、ピッピ出撃。

敵軍旗印であるドラゴンベイン・ベオルフと対峙するが、劣勢。

城壁内の侵略に対応するため、マスター・グランヴェール戦線離脱。

ドラゴンマスター・ピッピ単独での部隊展開となる。

7の鐘が鳴る頃、我らが貴婦人（クラウンミル）、飛翔。

連なって各地区、貴婦人の血族が揃って飛翔し後方援護につく。その数25竜以上。

その様、祖エムロードのアンゼルが見たであろう竜の行進のごとく。あまりの神々しさに言葉を失う。

我らが貴婦人（クラウンミル）による宣言（ドラゴンマスター・グランヴェール）

「命と意思は繋がねばなりません。どうか私の最後のダンスを離れたところから見守って下さい。人間のように器用にダンスは踊れませんけれどね」

貴婦人・血族ドラゴンの進撃により、平原に布陣した約3万5千の歩兵を殲滅。

中央から攻城塔へ突進。身をもって同兵器を破壊。

ドラゴンベイン・ベオルフと対峙する。貴婦人、右翼を損失するを確認。

目視不可能。砲撃が5回響く。

戦線に残っていたドラゴンマスター・ピッピ、援護へ。

敵陣中央部で巨大な爆煙が3度上がる。

10の鐘と共に、フールスキャップによってドラゴンマスター・ピッピのみ戦場より帰投。重傷を負うが意識あり。

17mars

城壁都市全軍総攻撃が総意で決定する。

貴婦人（クラウンミル）不在のため、ムスクテール裁定会議によりマスター・グランヴェール総大将として王城に残る。竜騎兵残存隊総出撃が決定する。

ドラゴンマスター・ピッピ、銀梨王リスシオワンと共に最前線へ立ち、総力戦号令。

「荒れ果てた田畑を耕すのは誰だ（Qui va labourer les champs déserts ）

　あいつらじゃない、私たちだ！（Pas eux, nous ）

　この空を飛ぶのは誰だ（Qui vole dans ces cieux ）

　あいつらじゃない、私たちの友だ！（Pas eux, nos amis.）

　今日限りで全てを取り戻し（Juste pour aujourd'hui, reprenons tout.）

　貴婦人に栄光を捧げよ！（Gloire ! Notre-Dame!）」

敵国に対して、城壁都市外壁弓兵2千による一斉掃射合図。

11の鐘の音と共に、陸・空による総力戦が開始される。

敵軍背後より、三都市同盟（グラン・エムロード・アライアンス）山岳・裂け山の民（モン・ティコル）援軍・騎馬兵隊2千挟撃。

銀梨王リスシオワンとその血族により、戦線を大きく引き上げる。

ドラゴンベイン・ベオルフの出陣なし？

13の鐘の音から暫くして、城壁都市グラン・ダジュール騎士団員・ジャン＝バプティスト、アトランテス大貴族キャピタルを捕縛の報入る。

実質総大将であったキャピタル捕縛により、敵軍動揺、後退の動き。

アトランテス大貴族公爵アーポリアが、大将（クラウンミル）を先に取ったのはアトランテス側であり、都市側の抵抗は醜いものだと主張、残存兵を奮い立たせるも

マスター・グランヴェール、貴婦人は象徴であって大将ではない旨を号令。

同刻、戦場にドラゴンベイン・ベオルフの姿がないことが分かる。

ドラゴンマスター・ピッピの進行により、アトランテス大貴族ルツォーネ捕縛の報入る。

貴婦人（クラウンミル）敵陣においての死亡がドラゴンマスター・ピッピより報告される。

16の鐘の音と共に、アトランテス大貴族アーポリア。アトランテス王家第三王子小ディオス捕縛の報入る。

21mars

敵軍、自衛の為の戦闘行動以外の戦闘行動を停止する。

残存兵9,054名を捕虜として4区城壁牢へ収容。

マスター・グランヴェール、魔法院とアトランテス王国との交渉準備に入る。

アトランテス王家第三王子小ディオス世話人・監視役の選定により、当側衛官は第一級秘書の派遣を図書館へ要求。

26mars

第二次侵略攻防戦終結。

マスター・グランヴェール、マスター・ピッピによる終結宣言。

戦後処理へ移行する。

側衛官補足

(*1)アトランテス王国第3王子妃、楽師姫（イーヒ）のことを指していたことが戦後の会話で分かった。

(*2)兄のために騎竜経験が浅い中エメラルド杯に臨み、赤靴下より優勝を譲り渡された、かの有名な少年ライダー、4区のコランタン。

(*3) ドラゴンマスター・ピッピは止血が済んでいなかった。私に「すてきなバッジを2つ付けているね」と笑ったが、クランヴェールの箴言を受け入れる余裕はなかったように見える。