第8話クエストはダンジョンの中で


「じゃ、まずこの初心者向けクエストの、ニガドリの卵2個納品にするか」

「うん分かった、これなら私たちでもクリアできそうだね」


――ギルド


俺達はギルドに備え付けられているクエストボードの前で話し合っていた。

近くでは獰猛そうな筋肉質の大男や可憐な顔立ちのエルフなどがそれぞれの得物を持って討伐や採取などのクエストへ向かおうとしている。

はぁ、なんかみんなカッケェ武器持ってんなぁ。

腰に付けている自分の錆び付いたナイフを涙目で見つめながら首を振り、ギルドマネージャーへクエストの紙を持っていく。

ギルドの中には酒場のような小さな店が経営されており、そこでは冒険者達がクエストで疲れた体を癒しに来ている。隣にはマッサージを受けれる店もある。

俺はそんな充実した店を横目にギルドカウンターの一番左にいた、白髪の髪をポニーテールにしたヒューマンの女の人に紙を渡す。


「はい。こちらお預かりしますね。えーと、ニガドリの卵2個の納品ですね。場所はグルダンジョンの2階層ですのでお忘れなく」

「分かりましたありがとうございます!」


グルダンジョン。

それはこの国の一番近くにあるダンジョンだ。

よく使われるダンジョンな為ギルドにはテレポートゲートと言うダンジョンの前まで飛べる物がある。

ふぅ~。よーく思ったらクラウディアテンペストって、結構フリーに遊べるのが売りだったから、縛りすくねーよなー。

ま、フリーズ回数が少なくていいけど、と思いながら、ゲートに向かおうとした時俺はとんでもないことを思い出した。


「はぁぁだぁぁぁぁぁあ!!」

「きゃ! 何? 急に声出さないでよ! ビックリするじゃない!」


いいや、俺は大切なことを忘れている!

俺の大声に驚いて近くを歩いていた人もひぃ! と声をあげながらこっちを見る中、俺はマーサージの店に猛ダッシュする。


「あのぉ! ここに日記みたいのありますか!」

「うぇ! ええ? あ……ありますけど……」


お客さんの足をマッサージしていた金髪のお姉さんがひゃい! っと驚きながら指を指す。そこには確かに日記みたいな物が。


「ねー! 何でそんなに暴れてるの? それより私を置いてかないでよー!」

「あぁ、ごめんごめん。でもこれで、楽になるはずだ!」


俺ははぁはぁと後を追ってきたマミちゃんに謝り、目の前にある手帳に……!


「オーマイガー……何書けばいいかわからん」


俺の作戦打ち破れたりぃ!

俺は膝から崩れ落ちながら、手帳を勢いよく破り捨てる。

フッ。まぁそんな簡単にはいかねーわな。

俺は目を点にしているマミちゃんとマーサージのお姉さんを横目に項垂れる。

なぜ俺がこんなに暴れているのかと言うと。実はこの手帳、ゲームの中ではセーブポイントなのだ。

もしセーブが出来たらフリーズしてもここに戻ってこれると思ったのだが、何を書けばいいのか分からなく積んでしまいました。

ちくしょー! 仮に、シンプルに死んだらどうなるのだろうか! また最初からなんて嫌なんですけど!

俺は引きちぎった手帳をマッサージのお姉さんに渡し、今度こそ本当にゲートに向かった。頭の中を整理出来ないままで――



この時俺はクエストに行くのをやめておくべきだったのかもしれない。

だってこの時死んだら最初からって分かってたじゃないか。



――グルダンジョン5階層


『グォォォォォォォォォォォォッッッ!』

「ぐぁぁぁっっっ!」


カラン、カラン……。


「リオン……くん? いやぁぁぁぁぁぁぁ!」


俺は錆びれたナイフを床に落とし膝から崩れ落ちた。

あぁ、マミちゃんが……。


『グァァァァァァッッッッッッ!』


俺は突如現れた巨大なモンスターに殺された――

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攻略済みゲームに転生した俺は彼女達のバッドをハッピーにする! @ryurion

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