第6話武器の不平等さがとんでもない


「ミキはマミさんの事まだ信用してません! だからもっと離れてよ! 大切なお兄様が汚れちゃう!」

「な……! そそそそんな近づいてなんかいないわよ! て、てか、私リオンくんの近くにいたいわけじゃないし!」

「お前らは黙って飯も食えねーのか!」


マミちゃんを預かり、俺の家に過ごすようになって1週間。最初の女の子いもうとのナツは何故かマミちゃんのことを気にいっていないらしく、朝ごはんの際にマミちゃんが俺の隣に座るだけで、離れてください! と服を引っ張っては、マミちゃんが顔を赤くして恥ずかしがっている。


なんなんだこの生活。


正直最初、ナツにマミちゃんのことを言った時はフリーズする事を少し覚悟していたが、全くフリーズすることは無く、むしろスムーズにストーリーが進んでいた。

今はリビングのテーブルで俺、ナツ、マミちゃんはそれぞれ違う辺に座って朝食をとっている。

一昨日から今日まで何をしていたかと言うと、


「ねぇねぇ! 今日から私もクエスト受けれるんだよね! 楽しみだなぁ~」

「楽しみって、命をかけるんだからもっと真剣な気持ち持てよ?」


ゴリオさんに無理を言って1ヶ月に一回ある冒険者試験を、特別に二回にしてもらったのだ。

まぁ、一応俺主人公だからな多少のことはお願いしたら言う事は聞いてくれるらしい。

まぁまぁ後にこれをうまく使わせてもらうとして。

そんなこんなで無事合格したマミちゃんは俺と共にダンジョンに行って、クエストを受けようという事になったのだ。

まぁ、もちろんこの話は俺が言い始めたわけではなく、ナツが冒険者の基本はクエストを受けるんだよと、ゲーム的進行をしたから決まったことだ。

でも、本当に最後の最後でマミちゃんがバグ扱いされてフリーズしないだろうな。

何故かこのイレギュラーに対してフリーズしないこの世界に不信感を覚えながらも、朝食を食べ終えた俺は自室に篭手などの装備品を取りに行き、用意を済ませる。


「そうだマミちゃん。武器何にしたんだ?」


リビングに戻った俺は今も昨日の晩御飯の残りのサンーマの煮付けを食べているマミちゃんに声を掛ける。


「大鎌だよ? なんか、ステータスカードに大鎌と弓しか装備できないって書いてたから、大鎌選んだの」

「おお、そうか……今なんて?」


え? ステータスカードに装備できるものが載ってる……えなにそれ知らない!

俺はなんでもないなんでもない、と頷きながらササッとリビングから出て廊下でステータスカードを確認する。


「えっと……ナイフとトレビュシェット……だけかよ! え、こんなのゲーム出なかったし、しかも主人公どの装備も付けれたのに!」


俺はつくづくゲームの主人公と俺のステータスの差がすごいと思いながらもあることに気づく。


「今俺ずっと短剣装備出来てるよな? なんだこれ、良くわかんねーな」


俺はステータスカードをもう1度ポケットにしまいナツに聞いてみるためリビングに戻る。


「なぁ、ナツ。この武器の欄に乗ってない武器装備したらどうなんの?」

「あ、そういえば言ってませんでしたね。それはとても重要ですよ。もし載ってない奴を装備し続けたら、ステータスが下がり続けたり、体に負荷がかかって死ぬ恐れがあるので――」

「…………」


そんなことを自信ありげに言うナツ。

こいつは俺を殺すきだったのだろうか。

俺はさり気なく短剣を床に起き、マミちゃんを連れて武器屋に行こうと……。


――いや待て。


今軽く流してきた事がひとつある。


トレビュシェットって確か100キロくらいの石とか飛ばすやつだよな……なんでまたそんなマイナーな武器が……。


俺はこの時、ナイフを得物にしてみんなを助けようと心に決めた。





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