第3話とりあえずチュートリアル開始
~冒険者試験~
これは至って単純なものだ。
剣で切りつける動作、体術との掛け合わせ。
そんな冒険者にとって必須な物をやるだけの試験だ。
「じゃあまず剣でキューリ切ってみようか!」
ここはこの国のギルドに備わっている闘技場。
体育館と作りは似ているが、床は石でできている。
俺と1対1で試験の監督をしてくれているのはゴリマッチョのオッサン、ゴリオさんだ。
ゴリオさんはツルッとした魅力的な頭を輝かせながらキューリといった、地球でお馴染みの緑のやつを持ってくる。それを木の棒に突き刺し、立てた。
そうだそうだ、最初剣を振るボタン分かんなくてゴリオさんに怒られたんだよなぁ。
そんな懐かしいようで懐かしくもない思い出を思い出しながら俺は短剣を両手で構えた。
「おお! いい構えじゃねぇか! いい筋してるぞ! ……んーと」
首をかしげてわざと臭い演技をかますゴリオさん。
あぁこのタイミングでプレイヤーの名前聞くんだったよな。どうせなら実際の名前を使わないでいくか。
「リオンです。宜しくお願いします!」
「お、リオンか! いい名前だ! よし! まずは丸ボタンを三回連打してくれ!」
「…………」
あ、そこも守っていくんすね。
俺は丸ボタンを三回押してできるアクションを思い出しながら短剣を横に一閃する。
すると、俺の頭の上にはグッジョブとの文字が。
どうやらあっていたようだ。
これで間違ってたら最初からやり直しだからな、とりあえず間違えないようにしなきゃ。
俺はその一心でゴリオさんが次々と言ってくる三角ボタンの説明やバツボタンの説明をクリアし――
「よし! 合格だ! お前はこれからこの国の冒険者だ! お前が活躍する時を待っているぞ! で、これがお前の冒険者カードだ!」
「ありがとうございます!」
どうにかチュートリアルをクリアした俺は名刺サイズの冒険者カードを受け取り、それを見てみる。そこには俺のステータス欄があったり、クエストの履歴を見れる欄何かもあった。
俺はそれをポケットにしまいゴリオさんに一礼しながら闘技場を後にし、ギルドの木で出来た大きな入り口を出た。
――外はもう夕方。
オレンジ色に染まったこの世界は美その物だった。
後ろを振り返ると城のようにでかいギルドがあり左右に首を降れば子供とお母さんが手を繋いで歩く微笑ましい姿が。
「本当にゲームの世界に来たんだな……って、あれは」
ちょうどギルドの目の前にある西メインストリートの奥に、見慣れた姿があった。
「あれは……マミ……ちゃん?」
水色の髪をツインテールにした女の子が果物屋のオバチャンに何かを頼んでいるようだ。
――おかしい
実を言うところマミちゃんは後半のヒロインキャラ。
なのにチュートリアル後にすぐ出てくるなんて!
その異変の謎を解消するためゲームの時を思い出してみる……。
「確か格技場を出た後は……元いた家に戻って…………あ! そういう事か! 俺はゲームではプレイ出来ない所もプレイ出来ているのか! 本当はもっと早くマミちゃんに会ってたんだ!」
俺はこんな早くに会えた喜びの一心でマミちゃんの方へ走り出す。
先程までの試験の疲れはどこへやらだ。
やったぜ! よりにもよってマミちゃんだし!
あと少し。もう少しで話せる距離になろうとした時だった。
果物屋の隣の魚屋で最初の女の子に話かけられた気がしたがそのまま気にせず直進した時だ。
――プツン
俺はまたやらかしてしまったらしい――
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます