Copacabana
第1話 帰らざる
獄舎、檻、饐えた臭いの地下室、なんでも良い。当たり前だが、いきなり捕らわれてそんなところに監禁されれば、誰だって戸惑うし怯える。彼と彼女だって当初はそうだった。歳のあまりにも離れた二人は、どちらの歳でもない幼児の如く、肩を寄せ合って震えていた。
しかし慣れてしまえばどうということはない。被監禁者としての常識的な監視を除けば、寧ろ快適そのものだった。研究素材と装置は幸いにも奴らが持ち出してきてくれていたし、周囲に大して頭の良い人間がいないことも彼にとっては求めていた環境であった。要は、鬱陶しく余計な口出ししてくる連中はここにいないのである。
逃げようと思えばいくらでも逃げられた。だけどそうした考えが過ると、彼は不快に顔を歪ませる程度には、元の研究所に戻ることを嫌悪していた。
この平穏を壊す曲者がいるとすれば、それはきっと陸島連合に違いない。
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