第4片 様子がおかしい!? 

「えっ? 駿くんの意識が戻ったんですかっ!?」


 事故があってから一週間後、駿くんのお母さんから電話で連絡があった。今しがた、駿くんが意識を取り戻したそうだ。受け答えもハッキリできるみたい。ようやくこれでひとまず安心と、私は胸を撫で下ろした。


 ちなみに彼は数日前から呼吸や血圧などが安定していて、すでに一般の病室へ移されている。だから今日の面会時間から話をすることができるらしい。

 当然、私は全ての予定を放り出して、駿くんの病室へ飛んでいった。



 ――いよいよ駿くんと面会する。



 病室のドアの前に立ち、私は緊張しながらノックをして中へ入った。

 視線の先には、こっちを真っ直ぐ見ている駿くんの姿。上半身を起き上がらせ、パチクリと瞬きをしている。


 あの澄んだ瞳、匂い、雰囲気、驚いた時に唇を噛むクセ――


 精悍でカッコイイ顔つきは包帯で一部が隠れてしまっているけど、彼は間違いなく駿くんだ。幼いころから隣で見続けてきたんだもん、人違いなんてするわけがないよ。


 意識が戻ったのを実感して、なんだか瞳が潤んでくる……。


「駿くん、私のこと分かるよね?」


 私は必死に嬉し涙を堪えながら、ゆっくり駿くんに歩み寄っていく!


 すると次の瞬間――


河野こうのっ、何しに来やがったっ? こっちに来るなっ!」


 駿くんは敵意に満ちた目で私を睨み付け、窓ガラスが震えるほどの大声で怒鳴った。そして奥歯を噛みしめ、体は怒りに震えている。

 その迫力と威圧感に、私は思わず肩をビクッと震わせて立ちすくんでしまった。



 これはいったい……どういうことなの……? わけが分からない……。

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