第四話 追跡

しばらく泣いた後、ようやく落ち着きを取り戻しセンちゃんの腕の中から離れた。


「……ありがとう。ちょっと落ち着いた…」



安心したようにほっと息をつき、センちゃんはおでことおでこをくっつけて

まるで『葵は大丈夫。なにがあっても私が味方』

そう言ってくれてるようでとても心が暖かくなった。



「センちゃんが居てくれて…本当に良かった。私……絶対あいつ止めるから!」



その言葉にセンちゃんはにこりと笑い頷いた。



「よし!そうなったら追跡隊を描かなきゃ!紙…紙っと……」



紙とペンを用意して描き始める。

まずは空から追跡する鳥類。これは鷹にしよう、かっこいいし!

あとは地上部隊。これは犬が最適かな?臭いで追跡するし…何匹か描こう。


それから……それからと葵はペンを走らせ夜が更けていった。





「で、出来た…」



具現化した賢そうな鷹に犬、葵の指示を今かと待っている様子だった。

まるで自分たちの仕事はもう分かっているという風に…




「君たちにはブラックを見つけて私に報告してほしいの。

どんな些細な痕跡でもいい…ブラックが犯人を見つけて危害を加えるより先に、私が奴を止める。君たちには危険な仕事になるけど…あなたたちが頼りなの…」




力強く抱きしめると、葵の気持ちに応えるように悲し気に鳴き声を出した。

そんな鷹と犬に私は大丈夫と伝えるように、優しく微笑み、ベランダの窓を開けた。


気持ちのいい朝焼けの景色が広がり、これからやる私の覚悟を受け入れてくれてるそんな感じがした。

視線を外から部屋に戻し、



「さあ!行っておいで!」




その合図に一斉にベランダの窓から飛び出した鷹と犬を見えなくなるまで見送った。

どうか……無事にあの子たちが戻ってきますよにと願いながら。

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