第10話 夏の日の0721。

 まるで別人のぉプロポォ~(以下略)。


 1993年、夏の日の歌はとりあえず置いとくとして。




 これは高一の夏、葉月が大人の階段を一歩上ったお話。




 夏休みに入った。

 明日から課外。

 そんな7月21日、深夜3時頃の出来事。


「ンあ…笹本さ…」


「………。」


「そげなトコ広げ…あ…。」


「………。」


「ダメ…ちょ…まっ…」


「なんで?よかろーもん?」

 

「でも!」

 

「んじゃ、やめよっか?」

 

「それ…も…困る…。」

 

「よね?もぉこげビチョビチョやもん。」

 

「そげ…ゆわんで?お願い…恥ずかしいよ…。」

 

「じゃ、入れるばい?力抜いて。」

 

「…うん…。」


 そして要のチ●ポが入ってき…

 

 そうになったトコロで目が覚める。

 


 うっわ~…

 ウチ、なんちゅう夢見よぉっちゃろか。


 コソッと隠し持っている数枚の研究用無修正DVD(局部ドアップ率非常に高い)にも決して負けない、強烈に生々しい夢だった。

 未だに心臓がバクバクしている。

 頬が熱い。

 猛烈に赤面していることが分る。


 のは、まぁしょうがないとして。


 股間に異変が起きている。

 具体的には。

 マン●が熱を帯びているのだ。

 生まれて初めての感覚。

 寝返りを打つと…湿っていることに気付く。


 ん?何これ?おねしょ?


 ちょっと焦る。

 恐る恐るパンツの中に手を入れてみると、激しくヌルヌルになっている。


 おしっこじゃない。

 もしかしてこれが晴美の言いよった「汁」?


 布の方は分かったので、今度は本体の方を確認。


 電気をつけ、パンツを脱いで、鏡を前に置き、見てみると…。

 ビラビラはうっすら開いて中のサーモンピンクが見えていて、そこから大量に汁が溢れている。

 クリはいつもより大きくなり、皮の外に頭を出してしまっている。

 以前見た時とはまるで様子が違う。

 なんというか…ビミョーに蠢いていて、とてつもなくエロい。

 見ているだけで、なんかヤラシイ気分になってくる。


 これまで晴美や他の友達から体験談は何度も聞いたことがあって、実際に興味本位で触ってみたことは何度もあった。が、くすぐったいだけで良さはイマイチ分らなかった、というのがホントのハナシ。

 本格的なマン●リはしたことが無かったのだが…。


 試しにDVDっぽく触ってみる。


「ンあ…」


 反射的に色っぽい声が出た。

 しかも結構デカ目の声。

 堪えられなかった。

 真夜中のしんとした部屋に響き渡る。

 思わず口を押えた。

 物凄く敏感になっている。

 意思とは無関係に腰が数度跳ねた。

 全くコントロールできない反応に焦りまくる。

 再度指でなぞってみると、またもや声が出てしまう。

 しっかりと歯を食いしばり、不意に出る声に備え、弄る。

 今度はウマいこと押し殺せた。

 さらに熱を帯び、再び汁が湧き出してくる敏感な部分。

 指を動かす度にDVDや動画と全く同じ音がする。

 その音が興奮を加速させる。


 乳首も起っていた。

 身体をよじった時、Tシャツに擦れて気が付いた。

 普段とは違って固く敏感になっている。

 触るとやはり気持ちいい。

 あまり大きくない膨らみ全体を包むように揉みつつ、指でつまんで転がしていた。


 次の段階へ。

 穴にそっと指を入れてみる。

 一本がやっと。

 中はでったん熱く、ヒクヒクしている。

 ズゥ~ンと鈍い快感が広がっていった。


 感じるっちこーゆーことなんか。


 ちょいちょい見るエロい動画やDVD、晴美たちが言っていた意味が物凄く良くわかった。


 この時点で既にやめられない止まらない状態になっていた。


 夢中になって指を動かす。

 何度となく跳ねる腰。

 とめどなく溢れてくる汁。

 出そうになる声。

 歯を食いしばり必死に耐える。


 動画で見た一人でするシーン。

 全てに納得がいった。


 そのまま弄り続けると、どんどん快感が強くなっていって…仰け反った。

 硬直し、絶頂。

 堪えきれず声が漏れる。

 数回の痙攣の後、スーッと快感の波が引いていく。


 ジェットコースターで落ちる感じとか、背中に電流が走ったような感じとかで例えられるイッた時の感覚。


 なるほどと思った。


 一人遊びを覚えた瞬間だった。




 スッキリした後、冷静になって軽く自己嫌悪。


 ウチ、淫乱なんやか?

 他の友達はどげな感じなんやろ?

 ペースは?

 そもそもホントにこんなことするんやろか?


 様々な疑問が湧いてくる。

 解決したい気持ちはあるが、とにかく恥かしい。

 流石にこれは…。

 晴美には聞けない。


 しばらく悩むこととなる。




 快感を知ってからは病みつきになってしまっており、かなりの頻度でやっている。


 やっていて気付いたことがある。

 オシャレのつもりで伸ばしていたツメ。

 弄っている時、タイミングが狂って刺さるときがある。

 頻度が増えてくるに従って、刺さる回数も増えてくる。

 無防備の状態で刺さると、血は出ないまでもとんでもなく痛いので、使用頻度の高い両手の人差し指と中指のツメはキレイに切った。




 それから数日後。

 課外での休み時間。

 教室にて雑談していた時のこと。

 興味のあるお年頃だ。

 当然の如くエロい話題になる。

 最近の晴美の体験談(既にえっちは経験済み)で盛上り、他の友達もそれにノッてくる。

 これまでの話の流れから、つるんでいる友達でえっちの経験者は半数ぐらいっぽい。


 話しているうち調子コキだし、自分でする話も飛び出す。


 よかった。ウチだけじゃなかった。みんなしよるんやん。


 以前より何度も友達のマ●ズリ体験談は聞いていた。

 が、その時点ではまだヤッていなかったので、単なる興味の対象でしかなかった。

 実際やるようになってから友達の話を改めて聞くと、心の底から安心できた。

 ホッと胸をなでおろしていた時。


「葉月は?あれからしてみた?」


 マンズ●のネタをフラれてしまう。


 このグループ内でも、というより学年内でも圧倒的に幼く見えることから、いつもみんなからお子ちゃま扱いされているイジラレキャラ。だから、こうやって別口でエロ話をフラれることも多いのだ。


 実はここ数日、ほぼ毎日やっているからめちゃくちゃドキッとした。

 しかし、今までどおりの流れだったので、


「当たり前やん!毎日ゴリゴリしよぉばい。」


 中指をヒクヒク動かしながら、普段通りの対応をすると、


「ふ~ん。」


 軽く受け流され、すぐに対象が別の友達へと移る。

 大成功だ。


 この時点では全くバレてなかったのだが…。


 いつもの如く盛り上がり過ぎ、エスカレートしてくる。


 ここで大事な情報を一つ。

 葉月はそそっかしい。

 ガードが甘く、ポロリが多いのもそういったところに由来する。

 だから、そのせいで結構自滅する。


 友達のマンズ●話に調子コイて相槌を打っていると…。

 これまでは気持ちよかった経験が無かったため、曖昧な話しかできなかった。

 動画やDVDで得た情報を、いかにも自分がやったようにアレンジするしかなかったのだ。

 よって微妙に現実味が無い受け答えになっていた。

 なのに今は、


「うんうん。気持ちいいよねー。指でコリッちしたら腰がピクンっちなるよね。んで汁がビヤ~っち出てきて…」


 無意識のうちに、かなりリアルな体験談を口走ってしまっている。


 ん?葉月?


 違和感を覚える晴美。


「ねぇっちゃ。なんかここ2~3日のあんたの話し、妙に生々しくない?」


 疑問に思い聞いてみる。

 すると。

 思い当たる節があり過ぎるため、思いっきしビクッとなる。


 しまった!


 みるみる挙動不審になっていく。


「へ?そンなこと…なイと思うケド?」


 焦り過ぎて変なトコロで声が裏返り、変なトコロで変な間が空いた。


 普段はというと、会話のほぼ全域でハスキーなのだが、焦ったり動揺すると、裏返った声だけが強めに、そして女の子らしい声で発音されるといった現象が起こる。

 そしてそれを見逃す晴美ではない。

 葉月に対してはかなり鋭いのだ。

 確認すべく行動を起こす。


「そう?んじゃ両手のツメ見してん?」


 意味も分からず、


「なんで?はい。」


 何の疑いもなく差し出した。


「ふーん。」


「ぷっ!」


 晴美だけじゃなく、そこにいる全員が確信する。

 意味深な笑み。

 中には吹きだす者もいる。

 一気に居心地が悪くなる。


「葉月、ちょっと。」


 吐かせるために、輪の中から引き離す。


「なん?晴美、どげしたん?」


 腕を掴まれ不思議な顔をしながら晴美を見つめる。


「来てん?」


 そのまま連行される。

 引き離す際、晴美は振り返り、みんなにウィンク。

 何人かがサムズアップ。

 そして、階段の踊り場へ。

 人気が無いのを確認し、小声で


「あんた、この頃覚えたやろ?」


 とりあえずモロではないけれど、すぐに分かるような聞き方をする。


「なにを?」


 心臓バクバクだけど、分かってない風を装った。

 すると今度は、


「とぼけんな。ここ一カ月ぐらいでオナニ●覚えたやろ?っち聞きよるんよ。」


 ニヤケながら、あえて直接的な表現に変え、質問し直した。

 傍から見ていても分かるくらいにビクッとなる。

 激しい動揺。


「…うウん。しチョらんバイ。」


 またしてもビミョーな間を空けてしまう。

 そして、またしても声が裏返る。

 思わず吹き出しそうになってしまう晴美。

 既に少し頬が赤くなりかかっている。

 バレバレだ。


「ふーん。もっかい手ぇ見してん?両方とも。」


「はい。」


 素直に出すと、


「ほら~。ツメ切っちょー。弄りよったら刺さって痛かったき切ったんやろ?」


 ビンゴである。

 満面の笑顔の晴美。

 手を取っているので葉月の「ドキッ!」が、直に伝わってくる。

 言い逃れられないと分かった瞬間、一気に顔が真っ赤になり、目が泳ぎだす。


「………。」


 それでも。


「違う?」


 聞かれて、


「違うヨ。これはネ、えっとネ、そウそう。この前ネ、先っぽの方が割レたき切ったんヨ。」


 認めない。

 かなり往生際が悪い。

 しかし、狼狽えまくって誤魔化しているのがモロ分かり。

 面白いので、もう少しからかうことにする。


「ふ~ん。両方とも?」


「うん。」


「ふ~ん。同時に?四本とも?」


「うん。」


「何しよったら、こげ両方ともうまいこと人差し指と中指だけ割れるん?」


「…コレはね、えっとネ、えっと~…。」


 ついに言い訳のネタが尽きた。

 絶体絶命だ!


 さてさて。何ち答えてくるかな?


 完全に楽しんでいた。


「えっと、何?」


 ニヤッと笑うと、


「もぉ!バカ!晴美の意地悪!あんぽんたん!」


 逆切れした。


「あ~っはっはっはっ!」


 大爆笑の晴美。

 泣きそうな顔の葉月。


「…なんで?なんで指見ただけで分かると?」


 小さな声で聞いてくる。


「あんた、この前までツメ伸ばして一生懸命磨きよったやん。っちゆーか、そげな切り方したら、マ●ズリしよるのモロバレやんか。思いっきし有名なネタやし。切るなら全部切らんとバレるくさ。さっき手ぇ見た時、みんな分かったっち思うよ?」


「うそぉ~?」


 大ショックだった。ガックリと肩を落とす。


「ホント。じゃ、戻ろ?チャイム鳴るよ?」


「あ~あ…イヤやな~。」


 みんなのところに渋々戻ると、


「晴美?葉月認めた?」


 全員が知っていた。


「うん!」


 得意げにピースする。


「ふぇ~ん…恥ずかしすぎるぅ~。みんな分かっちょったん?」


 葉月は真っ赤になって、半泣きコキながら聞いてみる。


「うん。有名なネタやもん。」


 晴美が言っていたコトと全く同じだ。


「そっか~。葉月がね~。やっと良さが分かったかぁ。おめでと。大人の仲間入りやん!」


 ニヤニヤしながらポンと肩を叩く。


「全然嬉しくないよ~。」


 ほぼ泣いていた。


 今回もまた自滅。

 毎度のことながら「アホだな~」と思ってしまう。



 そんな騒がしくてバカバカしい。でも、それでいて楽しい日常の一コマ。

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