第28話

俺は夢を見てる。どうして夢だとわかるかって?それはこんな都合のいい展開は現実ではあり得ないから。どんな夢かって?


それは秘密。だって話したら勿体ない。減っちゃうだろ?





ピピピピピーーーーーー。




スマホの目覚ましアラームで目が覚める。町田は眠気から来る倦怠感で瞼をまだ開けられないまま、手探りでマットレスの上のスマホを探していた。スマホを掴んだ所でようやく瞼をこじ開け、アラームを停止した。



「すっげー、いい夢。」


でも得てして、いい夢を見たところで今の起きがけの気分がいいわけではなく、むしろ悪い位だった。夢と現実とのギャップに不快感を覚えた。夢でも覚めなくても良かったのに。そう町田は心で呟くと、重い身体を起こしてリビングに向かった。



リビングのテーブルには置き手紙があった。勿論、差出人は安健で綺麗な字で書かれていた。



今日夕食、ご馳走作って待ってます。




ほう。仕事が一区切り着いたんだろうか。今日はゆっくり話が出来るかな。ゆっくりっていっても、向こうは契約を辞めたいっていうかもしれないけど。それならそれで仕方ないと思う。でも、応援してやりたい。自分はたいしてなにも取り柄がない。適当に大学を出て、適当に就職して、さして才能というものがない。自分のそういうモノを追いかけたりしない。だから、安健は自分にとって眩しくて、でも目に映していたくて。



やっぱり彼が好きなんだと思う。振られてもいい、告白したい。1000分の1の確率だってトライしたいんだ。


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