第18話

「ただいまー。」


今日もきっかりPM7:00パブロフの犬こと町田徹は家に着いていた。



「おかえりなさい。」



安健は玄関先迄出迎えてくれた。



「お風呂炊けてますけど、先に入りますか?」



これはもうイメプレ開始のゴングだろう…大丈夫か、安健…恋愛経験も余り無いのにイメプレなんて上級者的な事、出来るのか?



一抹の不安を残しながら俺はお風呂に入る事を了承した。




********************




風呂に入って湯船に浸かっていると、早速トントンっ風呂場のドアを叩かれた。



「背中流してもいいですか?」



「ああ、頼むよ。」



何だか、新人の風俗嬢に接客されてるみたいだ


、ドキドキ半分、心配半分。




「失礼しまーす。」



そうやって入って来た安健は何故かパンイチの姿だった。恥ずかしそうにモジモジする安健。


その姿は華奢で色白く、体毛が薄く、すね毛も少ない。透き通る様な半裸であった。



う、目のやり場に困る。



溜まらず、俺が誘導した。



「あ、背中流してくれる?」



「はい。」



そう言うと、安健は風呂場に置いてあるスポンジに少しお湯を掛けて、ボディソープを付け、泡立て始めた。




シャカシャカシャカ…


風呂場にはスポンジとボディソープが擦れる音だけ響いている。



この沈黙が余計町田の心臓を高鳴らせた…こらからどうなってしまうのだろう、イメプレと言っても、俺は男だぞ。何処まで自制出来るのか…



少しすると、ゆっくりとスポンジで背中を擦された。一日働いた疲れた身体に気持ちのいい感触である。町田の身体には後ろ姿からでも体育会系だと分かる、三角筋がしっかりと程よく筋肉が付いていた。



「凄い筋肉…」安健が呟く。




イメプレの話の向けたのは町田からだった。



「小説って、高校教師と生徒の話だっけ?調子どう?」



「はい、生徒がどうアタックするか今バリエーションを何パターンか考えてる所で…」



「じゃあ、こういうのはどう?先生の家に勉強会と称して生徒が訪ねてくるんだ。まあ、本当に勉強はするんだけどさ…時間外に勉強教えてくれたお礼に、先生の背中を生徒が流すって言うのは?」



「いいですね!」




「じゃあ、安田君、今日、勉強頑張ったね。背中流してくれる?」



「…はい、先生。」




「先生?背中、気持ちいい?痛くない?」



安健の声が急に色っぽくなった。こいつ、天性の才能があるんじゃ…そう思いながら「ああ、丁度いい力加減だよ。」そう答えた。



「先生、すっごい筋肉だね…モテるでしょ?」



「そんな、モテないよ…」



「嘘だ…だって俺には凄くモテてるもんっ」



「ははは、駄目だよ大人をからかっちゃ。」



「からかってないよ…俺…先生の事を考えると…身体がおかしくなるんだ…男同士なのに…先生…前の方も洗っていい?」




暫し沈黙の後…




「…いいよ。」俺はそう言った。




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る