第9話

食卓の前には、美味しそうに照りの付いた豚の角煮、鮭ご飯、大根の漬物、お味噌汁が並んでいた。




美味しそう。




女は男の胃袋を掴めなんてよく聞くのけれど、すっかり、がっちりもう掴まれちゃってる俺って一体…。




「あの~…」



すっかり料理に見とれてる俺に安健は話しにくそうに口を開いた。




「あ、そう言えば話って何?」



俺が水を向けた。




「あの、実は、大まかなプロットはOK出たんですけど…なんせ、安田さんにはリアリティーが足りないと…だから、2丁目で取材してこいって言われてしまって…」



「へー、まあ最もらしいっちゃ、らしいわな。」


俺は編集の人の意見に賛同した。



「で、俺、一人で行くには流石にちょっと…町田さん嫌じゃなかったら、一緒に行って欲しいんですけど…どうですか?」





安健はどうやら上目使いの魔法を覚えてるらしい。俺は一ころにやられてしまい、ひとつ返事で了承した。

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