第4話
「墨田区、2LDK、トイレ、風呂別、月三万、シェアで、家事担当の条件でどう?」
二人は今、就業時間を終えた町田が勤める不動産屋から徒歩10分もしない所にあるファミレスにきていた。
結局あの後、安田が希望する物件が見つからず、それなら、個人的に格安の部屋を紹介してあげると、町田がファミレスに呼び出し、現在に至っている。
「あの、町田さんのお部屋に住まわして貰うって事ですか?」
先程貰った名刺に目を落としながら安田が言う。
「まあ、そういう事だね。」
「で、でも、なんで俺なんかを住まわせてくれるんですか?」
「ボランティア?俺、ゲイなんだよね。だから、何となく親近感?そういう俺たちの世界が書かれた媒体って増えてって欲しいって思うし。」
「はぁー」
「そっちはそっちで、取材対象?題材として色々使えるんじゃないかと、色々協力するよ…どうかな。損はないと思うけど…」
と、勿論安田にちょっとときめいちゃってるなんて事はひた隠しにする。
考えあぐねいている、安田に追い討ちを掛ける様に言う。
「だって、住む所ないんでしょ?とりあえずマンガ喫茶何て生活してたら、生活墜ちてくのスペシャル早いと思うけど、執筆所じゃなくなるよ?取り合えず、次の物件捜す迄の繋ぎだと思えば?」
安田が顔を見上げた。
おっと、今のは説得力あったかも。
「あ、あの、じゃあ、よろしくお願いします。」
こうして、俺と安田の奇妙な共同生活が始まった。
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