(モノローグ間)
ここまでで結構な人数が出てきたから、ちょっと分かりにくくなったかもしれないな。
よし、ここで組合の皆のことくらいは、軽く紹介しておくことにするか。
まず、執行委員長の
趣味は一人でぷらぷらと旅に出ることらしい。バイクも持っているらしいが、忙しくて最近は全然乗れていないとぼやいていた。
次に、副委員長の
趣味は映画鑑賞らしい。けど、ただの映画じゃなくて、一昔前のフランス映画が好きと言っていた。前に一押しの作品を見せてもらったが、抽象的すぎて俺にはわからなかった。
執行委員の
意外なことに、趣味はお笑いのDVDを見ることらしい。人は見かけによらない。タブレットで見ながら、長風呂に浸かるのが週末の楽しみだと言っていた。
……まあ、風呂は健康にいいよな。
執行委員の
組合で経理をしてくれている
さて、最後にこの人も一応紹介しておくか。
人事部で労務担当の
ああ、“労務”の仕事も簡単に説明しておいた方がいいかな。
労務というのは、人事制度の整備や勤怠管理、給与管理、社会保険の手続きなど、会社の中枢の仕事だ。だから、かなり専門的な知識が要るし、場合によっては社労士の資格を持ってる人もいる。もちろん梅宮さんだけがこれらの仕事を全部抱えているわけじゃないが、労働組合との窓口ということで誰か担当者を置くのが慣習になっていて、それが梅宮さんになっている。
この人のプライベートのことは、あまり他人に話すなと口止めされているから詳しいことは言えないが、猫好きということは明らかになったので、それくらいは言ってもいいだろう。
とにかく無類の猫好きで、家では猫グッズを集めている。ただ、一緒に住んでいる両親が猫アレルギーのため、飼うことはできないらしい。猫を飼うためだけに一人暮らしをしようかと悩んでいた時期もあったみたいだが、家賃補助も出ないのにそこまではできないと思い止まったとのこと。
経営協議会のなかで、何かお願いしづらいことがあった場合は、猫の写真や絵が描かれたクリアファイルに入れて差し出すと、スムーズに仕事が進む、ということを後に覚えた。まあ、そのクリアファイルは返ってこないんだが。
俺の書記長としての仕事は、こういう人達に囲まれて、なんとかやっていくことができていた。
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