(モノローグ3)
俺の書記長生活三ヶ月目は、こんな感じで幕を下ろした。
出世は、本来であれば喜ぶべきもの。それが大きな昇進であればなおさらだ。
あとから知ったのだが、管理職になって組合から抜けるということは、それほど珍しいことじゃないらしい。管理職っていうのは、会社側の人間、つまり“労使”で言うと“使”の方だ。だから、“労”から、つまり組合から抜けなきゃいけない。まあ、理屈はわからなくもない。
だけど、俺たちの場合は事情が違っていた。
誰もが困惑していた。一ノ瀬さん自身が、最も戸惑っていた。
皆が一ノ瀬さんを頼り過ぎていた。
俺も一ノ瀬さんを頼り過ぎていた。
一ノ瀬さんは、人事部に抗議を続けたらしい。
でも、人事部よりもっと上の役員からの事業部命令とのことで、屋代部長にはどうすることもできなかったらしい。
人事部の、もっと上の役員。
それは、その年に役員になった外薗。あいつの計画だった。
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