能力

テスト

朝になってしまった。

当然よく寝れるわけもなく。


あ、雫はあのあと部屋へ送りました。


「どうするかな……」


呟いてみても、何も始まらないが。


でも、属性魔法なんて使えないしな……


こうなったら、ぶっつけ本番で固有魔法をやるしかない。


皆属性魔法をしてる中、俺だけ固有魔法ってのもおかしいが、これしか出来ることがないのだ。


魔法の対象とやらは雫にお願いしよう。


――――――――


来ちゃったよ、訓練場。


俺以外は全員もう揃っているようで。


おまけにアルゴンさん、マールさんもいる。


そしてクラスメイトの視線のほとんどは……


「勇者様方、おはようございます。」


そう、王女のマーリンさんに向かっている。


この美貌は、男女関係なく虜にしてしまいそうだ。


「ふふ。皆さん、緊張せずにいつもの通りにやってくださればよろしいですよ。」


マーリンさんはそう言うが、それだと俺は筋トレすることになるぞ?


「はは、マーリン様の言うとおりだ。さて……マール先生から聞いてると思うが、今日はそれぞれ今まで練習してきた属性魔法を見せてもらう。」


うーん、なんか心配になってきたぞ……


「それじゃ、この前と同じ順番で呼んでいくからな。呼ばれたら出てきて、いつも通りに魔法を発動してくれたらいい。はは、まあテストみたいなもんだと思ってくれていいぞ。それじゃ…岩間!」


俺だけテストの科目違うんですけど!


心の中で突っ込んでいると、いつぞやのA君が出てきた。

あれ?この順番って俺最後じゃなかったっけ……


「ストーンバレット!」


「ストーンレイン!」


「ストーンシールド!」


A君は土属性魔法を次々と唱えていく。


その詠唱に答えるように、次々と不可思議な現象が起こる。


いつの間にか、俺は始めてみる属性魔法に圧倒されていた。


――――――――――


気付けば、樹の番になっていたようで。

たしか聖属性を選んでたっけな。


樹は、無言で魔法を発動していく。


完全な無詠唱である。魔力適正のお陰だろうか。

もしかしたら詠唱できないかと思っていたが、いらない心配だったみたいだ。


そして、樹の番が終わる。


次は――


「以上です、マーリン様」


呼ばれることはなかった。



あ、あれ?拍子抜けなんだけど……

でもナイスだ!アルゴンさん。



「あら?あの方がまだでしょう?」


そう言ったマーリンさんの視線の先には――俺がいた。



……どうやら、逃げれないらしい。

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