マールさんに着いていって20分程経ったころ、大きな扉がある部屋の前についた。


王宮ってどんだけ広いんだろうな……つか王宮なのかここは?


「さて、ついたね!えっとこれで……」


マールさんは、取り出した鍵のようなものを扉に当てる。

それと同時に、ロックが外れたような音がしたと思うと、ゆっくり扉が開いていく……


「よーし、さあいこう!」


マールさんに着いて行く俺達。正直まだ自分の武器のイメージとかまったくないんだよな。


――――――――――――――――――――――


魔法武器庫なる場所は、とても大きな場所で、少し薄暗い倉庫のような場所だ。


中は、様々な魔法武器?で埋め尽くされるように置いてあった。

ファンタジーってのをまた実感するよほんと…


マールさんは俺達が入ったのを確認すると、扉を閉めた。結構厳重に管理されている場所なんだろう。

扉が閉まると、途端に部屋が明るくなった。そういう仕組みなのか?


「それじゃちょっと説明するね!この長いのがロッド。魔法使いの中では持たれてる。攻撃魔法をかなり補助してくれるよ!次にこの短いのがスタッフ!回復とか支援とかそういう魔法を補助してくれるね。杖に関してはこの2つで…後この手につけるタイプのものがオーブ!この綺麗で大きな石がついてるやつね!石に色があるのは分かると思うんだけど、それに対応した属性魔法を強化してくれるんだよ!でもね、これはあんまりお勧めしないかな。皆3個ぐらいの属性魔法適正持ってるし。」


マールさんが各武器の特徴を大まかに教えてくれる。なるほど…


ロッドは細長い棒状のものに、先端が少し宝石か何かで装飾を受けているものだ。攻撃魔法はしないだろうから、これは論外だな…


スタッフは、ロッドより多めに装飾が施してある。それにロッドの半分もない長さだし、扱いやすそうではあるな…俺は多分これになるだろう。


オーブは……うん。属性魔法ないんですけど!


「さて、また分かんないことあったら言ってね!ロッドはそっち、スタッフはこっち、オーブはあっちだよ!それじゃ皆、好きなのを取ってきて!」


マールさんがそう言うと、全員ばらけていく。


さて……俺も行くか。


―――――――――――――――――――――――


おおう……予想通りといえばそうだが、スタッフは女子が多いようだ。

支援って男がするもんじゃないしな…


探す事一時間程。結局分かったのは、あまりどれも違いが見られない事。

ちょっと目に付いたのは、装飾があまりされていない、地味めなスタッフだった。

あんまり派手なのは好きじゃないんだよな。


うん、もうこれでいいんじゃなかろうか……いや、俺が使う武器だ。しっかり探すとしましょう。今度は奥を探してみるか。



また探す事数十分。


……ん?何だこれ?これはスタッフなのか?


スタッフが並べられている棚には置かれておらず、それは、棚の影にそれは立て掛けてあった。


長さはスタッフと同じぐらいに短いが、形はまるで剣。


しかし柄、鍔、刀身全て、漆黒と言えるほどの黒。なにより刃がない。


「おお、よく見つけたね君!」


うお!?びっくりした……マールさん、いきなり声かけられるとびっくりします。


「マールさん、これもスタッフなんですか?」


「うん!この黒いのは黒衝石って言ってね。とても頑丈で、しかも支援魔法を増幅させる特徴も持ってるんだ。まだ支援魔法を増幅させるなんて特徴が知られていないとき、これをショートソードにしようとした鍛冶屋さんがいてね。剣の形にはなんとかしたんだけど、刃を作るのが無理だったらしくて…」


「なるほど。それで勿体無いから後にスタッフとして使おうとしたんですね。」


「そういうこと。持ったら分かるけど、これだけの黒衝石を使ったわけだからちょっと重くて…あんまり使われないんだよね。そうだ!君力ありそうだしこれにしてみたら?一応鈍器としても使えるよ?」


黒ってのは俺の好きな色の一つである。ちなみにもう一つはピンクです。

それに、何か今の俺と重なってしまうのだ。よし…


「これにします!」


「おー!これずっと放置してあるから可愛そうだったんだよね!ありがとう!」


そうマールさんが言うと、俺にそのスタッフを渡してきた。…重っ!でも、簡単に振れるぐらいの重さだ。


それじゃ、というとマールさんは他の生徒のところへ行ってしまった。


うん。武器も決まったし、入り口の方に戻るか。


――――――――――――――――――――――――――


戻ってきて十分ほど。やっと全員集まったようだ。


俺以外も、もう武器は決まったようである。


あ、ちなみに樹は地味めなスタッフを、雫は、先端に水色の綺麗な玉がはめ込んであるロッドを選んだようだ。


「皆決まったね!夜ご飯まで少しだし、これで今日は終わり!明日から本格的に魔法を教えていくから!」


マールさんがそういうと、少し騒がしくなるクラスメイト達。


「武器は各自持っててね!座学とか食事とかの時は部屋に保管しておくといいよ!それじゃあ解散!あ、食事はもう勝手に食べていいから!」


これまた武器の話で盛り上がるクラスメイト達。


ふう…さて、さっさと部屋にスタッフを置いてこよう。


―――――――――――――――――――――


スタッフを置いてから、俺は食堂へと向かった。


道中、ちらほら前衛組を見たのを考えると、もう終わったのだろう。

あっちも俺達と同じような感じだったのかね…


前衛組は、剣や斧、槍など様々な武器を持っていた。刀みたいなものもあったかな。

そういや、春樹はボクシングをやってるって聞いたし、あいつならナックルとかつけてそうだ。


っと、食堂着いたけど誰もいないな…料理はもう置いてある。とりあえず端の方に座るか!


銀の蓋を開けると、クリームシチュのような料理と、パンがあった。うまそ……



ちょっと待つが誰も来ず。もう食っちゃうか!いいよな!なんか寂しいけど!


そう思ったとき、ガタッと、俺の隣に誰か座ってきた。


「……樹?」


樹だった。思わず声だしちゃったよ!


「……」


相変わらずな無言だ。でも、樹が来てくれて助かった。これで寂しくないぞ!

あ、でも昨日の夜のことが……


俺がそう考えている間に、樹はもう食べ始めている。

なんか考え込むのも可笑くなってきたし、いったん忘れて樹と食事を楽しみましょう。




…………ってあれ?樹さん食べるの早くない?皿、もうほとんどないんですけど!


樹はあっというまに食べ終わると、席を立って食堂から出て行った。


俺、食べ始めたばっかなんだけども。


……皆はやくこないと冷めちゃうぞー!


―――――――――――――――――――――――


結局誰も来ないまま、食べ終わりましたとさ。

とても美味しかった。




そういや、樹の顔、ちょっと赤かったような…シチューが熱かったのか?


……さて、今日はもう終わりか。部屋に帰って魔力を出す練習でもしよう。





食堂でさっさとご飯を食べ、俺は部屋に戻る。




ちなみに今日はシチューとコッペパンのようなもの。美味しかった。




さて、練習練習!




……まあ単に魔力を出すだけっていうよく分からない練習なんだけども……






前はちゃんとイメージできなかったせいで、出来なかったんだろう。




マールさんもそんな事いってたし。




床に座り、精神を整える。








――よし、やるか。






まず、目を瞑る。






そして魔力の生成を行ってる場所――心臓の左と仮定しよう。






ここから魔力を生み出して……俺の右腕まで持っていくイメージ。










それを一気に外へ出す!








……どうだ?








目を開けると、手になにか白いもやもやが出ていた。




……




でた、でたぞ!




うん、やっぱりイメージをしっかりすると大丈夫みたいだ。






もう一回……もうあんまりイメージしなくても出来るようになったか。




それにしても、よく分からない感覚だな。ほんと、違う世界に来たって感じだ。






「……」






うーん……思ったよりすぐ出来ちゃって時間が余ったな、まだ寝るには早いんだが。






……






よし、とりあえずランニングするか!暇だし。あと筋トレもしておこう。




このスタッフも、今の身体のままじゃ振り回すのもきついだろうからな……




そうと決まれば訓練所に行こう。あそこなら誰もいないだろうからな。








――――――――――――――――――――――






着きました。






訓練所は最低限の灯がついているぐらいで、人っけがまったくない。




人がいないとほんとに広く感じる。実際広いのだろうけども。




ここを内周するだけで相当な距離になりそうだな。








……さてと、ランニングからだ。三十分ぐらい走ってみよう。腕時計で時間を確認と。










よーし、走りますかー!




―――――――――――――――――――








うん、なんか疲れにくくなってる……?ちょっと早めに走ってるのだが、あまり疲れない。




異世界補正ってやつか。時間を確認、ってもう三十分たってるじゃないか……






次は筋トレだ。


まずは腕立て五十回。うん、余裕だな…前の世界だとかなりきつかったんだけども。




増量で百回してみる。流石にまあきつい。






次は背筋、スクワット、腹筋エアダンベル懸垂……






懸垂は適当な壁でやったから凄い図になってただろう。




ま、まあ誰もいないしな。






―――――――――――




ほくほくの身体で、俺は部屋に戻る。






ちなみにお風呂らしきものは部屋にある。魔法って便利だな。




さてと……お風呂にも入ったし、もう遅いから寝るとしよう。









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