コノハ博士の賢く美しい発音教室

@zatou_7

下唇を少し噛むのですよ

 ここは図書館の講義室

 ハカセの招集により、サーバル、かばん、アルパカ、アライグマ(とフェネック)が特別講義に参加した


「いったい何するんだろうねー?」

「講義って言ってたけどなんの講義だろう・・・」

「良くわからないまま来ちゃったよぉ~」

「なんでフェネックまできたのだ!フェネックは呼ばれてないのだ!」

「いいじゃないかーヒマだったのさー」


 ワイワイガヤガヤ

 ガラガラッ


「全員居ますね、余計なのがいる気がしますが・・・まあよいのです、えー、コホン、今回お前たちを集めたのは他でもないのです・・・最近のフレンズは発音が乱れているのです!!!」

 一同「ええええええ!?」

「静かにするのです、助手!例のものを」

「はい」


 博士に命じられて助手は写真の貼ってあるフリップボードを箱から取り出した


「まずはテストするのです、ではサーバル、この写真のフレンズはわかりますか?」

「知ってるよ!ジャガーだよ!ジャガー!」


 元気のよく自身に満ちた回答したサーバルを見て博士は眉間にしわを寄せてため息をついた


「はぁ・・・ダメダメなのです・・・全然なってないのですよ」

「ええ!?なんで!?カバンちゃん!私なんか間違ってた!?」

「えっ!?あ、うん・・・写真はジャガーさんだし別に間違ってないんじゃ・・・」

「発音が違うのですよ、いいですか「ジャガー」じゃないのです!「ジャグワー」なのです「ジャ”グワ”ー」です」

「一緒じゃん!!!同じだよー!!!訳が分からないよー!」


 頭を抱えて抗議するサーバルちゃんに博士は畳み掛けた


「だから違うのですよ!発音が違うのです!!!さあ皆続けて発音するのですよ、ジャグワー!」

 一同「ジャグワー!」

「よろしい、それが美しい発音なのです、では次かばん、コレはどこですか?」

「えっと・・・・サバンナ・・・だと思います」

「お前も発音が違うのです、いいですか「サヴァンナ」、「サヴァンナ」なのです」

「へっ・・・サ、サバンナ・・・」

「違うのです、ヴァ!なのですバじゃないのです、下唇を噛むように発音するのですよ、アルパカ、ちょっとヴァの発音してみるのです」

「ひぇ!?難しそうだよぉ~・・・コホン・・・バァ!バァ!」

「ヴァなのですよヴァ!下唇を噛むように!」

「バ!バ!ゔっっ!!!・・・ふわぁぁぁ舌かんじゃったよぉ~!」


 舌を噛んでしまい悶絶するアルパカにため息をつきながら博士はアライグマを見つめた


「アライさんは完璧なのだ!アライさんにおまかせなのだ!スゥ・・・サバァンナ!」

「・・・はぁ・・・ちがうのです」

「ええ!?なんでなのだーーーーー!!!」

「違うよーアライさん、サヴァンナだよサヴァンナ」

「完璧なのです!フェネック、お前は美しい発音なのです!」

「ええええええ!?なんでフェネックはできるのだー!!!アライさんだってできるのだ!!!サァバンナ!サバンナァ!サヴンナ!なのだ!」

「ダメダメですね」

「ダメダメなのです」

「なぜなのだーーーーー!!!」


 図書館にアライさんの叫び声がこだました

 その後夕暮れまで講義は続いたが発音が改善したのかは不明である

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