真綿が冷める




うるさい世界をゆっくりゆっくり

うるさい夜中をゆっくりゆっくり

烏が通り過ぎる道路を

黒猫の後ろ姿が

電灯のちらつくのを

…水でも飲もうか

その場だけを

その場凌ぎで

悲鳴をかき消すように

つんざいたのは僕の

喉で


煙草を吸えばどうにかなるこの感覚

座り込んでアスファルトを見つめて

それで何ができたのだろう


常に疑問に塗れ

常に音の渦に飲まれ

耳を預けるのは古い機械音で



濡れた夜

湿気た夜

画帖の夜


入り口で臥すこの夜


僕は一体何になれただろう




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