白廃の庭 〈〉






脆くて聡い指先が

まるで溶けるように頬を跳ねた

きっと大丈夫という言葉がともにあった

きっと、と

きっと、と

キット、

僅かな視界を縫うようにして現れた

指先は

たとえば夏

神経の柔んだ夜の夏

簾の向こうに横たわり

頭だけを向こうにやって

ゆっ、くりとまた戻すだけ

どこか白んだ夏の夜

体温だけが冷たく其処彼処

嗚呼、そう

聡くて脆いその指先が

労わり泣いたのは

多分決して私のためではないのだ

…戻した目線の先の天井に映るため

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