【結城あや的Second Lifeコラム】アバターに反映されるユーザー自身

結城あや

第1話

 セカンドライフはアバターを操作してチャットなどを楽しむ世界。デフォルトのアバターは「いかにも外国人」といった外見で日本人ユーザーにはあまり(ぜんぜん?w)人気がありませんが、日本人クリエーターが作ったスキンを着け、シェイプを編集することで、日本人的な容姿にもなれます。またほとんどのアバターが美男美女であり、年齢でいえば20歳前後から30歳手前くらいに見えるようにしているのではないかと思います。

 売られていたり無料で手に入れたりするスキン等ですからある程度は同じ外見のアバターも存在しますが、一般的なオンラインゲームに比べれば膨大な数になりますので、人気のあるスキンショップの商品など限られたもの以外はそうそう同じ顔の他人と出会うことはありません(同じスキンを使っていてもシェイプの編集ひとつで印象を変えられるということもあります)。

 中には美男美女で若い世代ばかりという横並びには満足せず、動物などのアバターを選んだり、あえてシニアな外見を選ぶというユーザーもいます。これもまたセカンドライフの自由さといえるでしょう。

 ところで、現実世界ではそうそう美男や美女はいないもの。つまりアバターは現実の自分とは違うものといえるでしょう。もちろん外見だけではなく年齢的にもアバターの見た目年齢とユーザーの年齢には隔たりのある人も多いと思います。

 そうした、ユーザーとは離れた存在のように思えるアバターですが、ユーザーの性格が反映され、その人自身といえる部分が見え隠れします。多くはチャットのくせであったり行動パターンになるとは思いますが、現実のユーザーの内面がアバターには反映されるような気がします。

 こういうとアバターに思い入れがある人ほどその傾向が強いように思われるかもしれませんが、むしろ「アバターなんだから」と距離を持っている人ほど現実のユーザーの性格が出やすいのではないかという気がします。アバターに思い入れのある人はそのキャラクターを大事にするあまり現実のユーザーからは離れていくのかもしれません。もっともそれは外見的な印象であって、内面的にはむしろ融合といってもいい状況が生まれ、アバターにユーザーが反映するというより、ユーザーがアバターの影響を現実世界で受けるということもあるようです。

 またわたし、結城あやの場合ですと、もともと作家と作品のキャラクターのような距離感、つまり自作の小説や漫画のなかに作ったキャラクターのような距離感を持っているのですが、作品のキャラクターに作者の性格が反映されるように、現実の自分とは別の「結城あや」という存在感がアバターには出てきているようです。

 仮想空間におけるアバターとユーザーの心理学的な検証というのも今後出てくるかもしれませんね。

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