第4話揺れる心

あれから・・数時間が立つ。

結局、コイツの愚痴話が永遠と続いていた。後半は、酔っていて何が言いたいのかも分からない。それを、私はハイハイと相づちをしてはお酒を飲む。チラッと時間を見ると終電がない時間だった。


「あぁ~、始発かよ!!まぁ~、明日って今日か・・休みだからいいけど。」


そんな事を、ボッーと考えていると


「おい‼聞いてる?」


「ハイハイ、聞いてますよ‼ってか、飲み過ぎ!!ほら、帰るよ!!」


「うん⁉まだ、いいじゃん‼明日、休みだろ?」


「もう、今日だよ‼ったく、お酒弱いのに‼飲み過ぎ!!バカなの?」


「バカじゃありません‼ちょっと、アホなんです。」


彼は、トローンした目で言う。


「はぁ~、めんどくさっ!!すみません~お会計お願いします。」


「やら~、まだ飲む‼」


「ダメ!!タクシーで吐くでしょ?」


駄々をこねる彼を無視してお会計をする。肩を抱えながら店を出るとタクシーを捕まえ乗せる。住所を伝え、帰そうとしたときグッイと腕を引っ張られ彼の隣に倒れた。そして、ドアが閉まる。


「えっ⁉あっ・・降ります‼この人だけっておい‼腕放せ‼」


「・・・・スッー・・」


寝息が聞こえたので諦めた。


「はぁ~、何でこうなるかなぁ~。コイツ家から帰るの・・めんどくさいのに・・」


憂鬱になりながら窓の外を眺める。それから、数分で着くとお会計をして部屋まで運ぶ。部屋のカギを開け靴を脱がせ、寝室まで運びジャットを脱がせる。


「あぁ~しんど!!何で、コイツの家まで送んないと行けないんだよ‼普通・・逆じゃない⁉ったく、もう二度と遅くまで飲まない‼」


結局は、そんな事が多々ある。


「あぁ~のど渇いた‼」


ボッソと言い、ダイニングに向かう。慣れた手つきで冷蔵庫を開けミネラルウォーターと取る。それを飲みながらソファーに座り、


「相変わらず、綺麗にしてる。だから、フラれるじゃない?まぁ~、どうでもいいけど。寝よ‼」


私は、ソファーに横になり目を瞑る。

数時間後、ふと目が覚める。カーテンごしから日がちらつくので、朝かぁって思いながら起き上がる。背を伸ばし、家に帰る為メモを残す。お金は後日、請求すると書き玄関に向かう。寝室からスッーと寝息が聞こえてくる、どんだけ爆睡だよ‼と思いながら靴を履き外に出る。日差しが眩しく目を細めながら歩く、駅が遠いと思いながら歩いていると・・プッとクラクションが聞こえビクッとしながら見ると・・そこにあの人が居た。


「あっ、桐山さん?」


「やっぱり、今井さんだ‼後ろ姿がそうかなぁ~って思って!!どうしたの?」


「えっ?あっ~、会社の人と飲んでて今帰ります。」


「そうなんだぁ~‼あっ、乗って?送るよ?」


「いえいえ、電車で帰れますし。」


「送るよ‼ほら、乗って?」


彼は、ドアを開け手招きをするので


「じゃ、お言葉に甘えて・・すみません。お願いします。」


「はいどうぞ。」


「ありがとうございます。今からお仕事なんじゃないんですか?」


「うん?あぁ~、取引先に挨拶をするだけどね。全然、時間余裕だから大丈夫だよ。」


「そんな!!途中で降ります。ゆっくり帰れますし。」


「気にしないで。俺が好きでやってるから‼家って、あそこでしょ?前に1回送った所でしょ?」


「あっ、はい。」


「なら、通り道だから!!会社の人と今までお店に居たの?」


「えっ?あっ・・・その人酔いつぶれて家まで送ってその人の家で少し仮眠した帰りなんです。」


「そうなんだ。その人は、男の人?」


「えっ?あっ・・・、はい。あっ、桐山さんも知ってますよ!!ほら、藤井亮です。」


「あぁ~‼一緒にプレゼンしてた?」


「そうです‼彼、同期なんです。お酒弱いのに、たくさん飲んじゃって・・」


「そうなんだ~。でも、気をつけないと危ないよ。」


「えっ?」


「男は狼だから。」


笑いながら言う彼に、少しドキドキしながら


「もぅ~、何言ってるんですか‼愚痴をずっーと聞いてぐでんぐでんに酔う奴ですよ‼」


私も笑いながら言い彼を見ると、昨日の亮見たいに子犬のような目で見られサッと目を背ける。


「でも、気をつけて。今井さんは、優しいし可愛いから。」


「えっ?」


突然の言葉に動揺する。数分後、家の近くまで着くと


「あっ、ここで‼本当にありがとうございます。」


「大丈夫?」


「はい。そこで買い物したいので‼ありがとうございます。助かりました。」


私は、会釈をしながらシートベルトを外すと


「今度、飲みに誘ったら朝まで居てくれる?」


「えっ?」


「彼みたいに朝まで居てくれる?」


「もう~何言ってるんですか‼奥さんに勘違いされますよ‼」


「本気だよ。」


「へぇ?」


「アイツとは今別居中なんだ。だから、朝まで居てくれる?」


「えっ・・あっ・・・」


少し困っていると、彼は微笑みながら


「ごめん。変な事言って・・」


彼が悲しい顔をしながら言うのでつい口が


「ハイ。今度は朝まで。」


「えっ?いいの?」


「ハイ、もしかしたら寝ちゃうかも知れませんが・・」


「うん。全然いい!!じゃ、今度」


「ハイ。今日はありがとうございました。失礼します。」


私は、車から降り彼を見送った。なぜ、あんな事言ってしまったんだろうと少し後悔しながら家に帰った。

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