第3話揺れる心

いつもと少し違う朝。多分、本当は変わってないけど・・何かが違うように感じるだけ。

いつもの満員電車が、今日だけは苦じゃない。会社に着くと・・


「よっ‼んん?何かあった?」


「はぁ?別に何も。」


朝から軽く絡んで来る。藤井が


「いや‼何かあっただろ⁉」


「別に何もない。何?朝から」


「ふーん。俺に言えない秘密が出来たんだ。まぁ~いいけど。仕事終わったら何か予定ある?」


「はぁ?別に予定はないけど?」


「じゃ、夜付き合え‼」


「何?また、フラれたの?」


「ちげーよ。まぁいいから‼じゃ、後でな‼」


藤井は、返事を聞かず立ち去る。アイツは、彼女にフラれるたび私に愚痴る事が多い。他に、いないのかと思いながら私も付き合う。

仕事が終わり、馴染みの居酒屋に行くと


「ビール1つとレモンサワー1つ。」


「で?」


「うん?お前さぁ~彼氏でも出来た?」


「はぁ?」


「どうなんだよ?出来た?」


「居ません‼何?そんなくだらない事聞くために誘ったの?あぁ~、最悪。」


「お待たせしました。ビールとレモンサワーです。」


「あっ、ありがとうございます。」


私は、受けとるとビールを渡す。レモンサワーを飲み


「はぁ~、帰る!!」


「はぁ!?」


「だって、話それだけでしょ?なら答えたし。」


「怒るなよ!!何か今日、雰囲気が違って見えたからさぁ~。ほら、俺が奢るからなぁ!!」


亮は、子犬のような目で見てくる。そんな目で見られると・・弱い。好きじゃないけど・・少しキュンとしてしまう自分が嫌いだ。コイツは、これを武器にしてどれ程の女達を虜にしたのだろう。でも、あの人もたまに見せる悲しげな目が浮かぶ。


「はぁ~、そんな目で見るな‼ったく。すみません~、注文いいですか?」


「はーい。今、伺います。」


定員さんがバタバタと来ると、軽いつまみを2~3品頼む。


「いいねぇ~。やっぱ、お前と飲む方が楽だわ!まぁ~、こんな店お前としか来れないし。」


「はぁ?他の友達誘えば?いるでしょ?」


「居ないこともない・・・でも、話がつまんないだよ‼株とか保険とかモロモロ仕事の話が多くて‼」


「いやいや普通でしょ?高校生じゃないんだから!!」


「そうだけど・・下らない話とかしたいじゃん?」


「子供か⁉大体、その人達は結婚は?」


「してる。だからさぁ~、余計虚しくてさぁ~。」


「すれば?今の彼女と?」


「別れた。」


「はぁ?」


その時注文したつまみが来ると、私は軽く会釈して受けとる。皿に取り分けながら


「えっ?確か、付き合ったのって・・最近だよね?ハイ。」


「あっありがとう。うん。」


「何?浮気バレた?」


「はぁ?俺、そんな事しねーし!!」


「じゃ、何で?」


「よくわかんねーけど・・イメージと違うって!!何だよ‼イメージって!!」


「・・・チャラ男?」


「おい!!」


「あっ、ごめん・ごめん。つい口が‼」


「もっとおい‼だよ‼」


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