第十二章 『悪夢』
悪夢
今、何が起こったんだ?
目前に広がる景色は、森、空。
俺は倒れているのか?
そして・・・胸にあるのは痛み。
倒れている俺の目の前に立っているのは確かに麻衣だ。
けれど、俺の知っている麻衣とは何かが違うように見えた。
「もう、君は用済みだよ。」
そう言って鼻で笑う麻衣。
冷たい眼つきで俺を見ている。
冷淡に。冷酷に。
その目は人間を見ている目とは思えない。
「どうして・・・」
俺はそう声を出すことしかできなかった。
いや、その声すら麻衣の耳に届いたのか疑問だ。
「僕の目的は達成されたんだ。君はもう必要ないんだよ。」
目的・・・それはなんだったんだ?
麻衣は俺のためを思ってこの旅に付き合ってくれていたんじゃなかったのか?
「・・・・」
麻衣に声をかけようとしたが、声にならない。
胸が熱い。
そして寒い・・・
「じゃぁね。僕の可愛い和樹。君のおかげで僕は・・・」
そう言って麻衣は血にまみれた右手で下腹を撫で、唇の端をほんの少しだけ上げた。
そして、笑みを浮かべ左手のそれを右手に持ち替え・・・
俺は確かに見た。
麻衣の後ろに立つ少女を・・・
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