なぜか俺は、そこに居た
風が吹いた。
口と鼻と目を通って、抜けていく。
眠っていた俺は、目を覚ました。見慣れない場所に、少々驚いた。
俺が住んでいた土地とは、思えない状況。何もかもが古く見えて、この世界にだけマッチしていた。
硬い場所で、眠っていたため。節々が痛い、特に枕などせずに木で出来た、硬い四角形のようなものだったため、頭が痛く感じた。
肩凝りが、いつにも増して酷い。職業柄、デスクに座ってることが多く、頻繁に肩凝りを起こしているんだ。
マッサージなんていう、洒落た店舗に、優しい匂いが広がってる。癒し空間にも行けやしないし、自分で肩を揉むのが関の山さ。
それにも今は、慣れたもんだ。昔は、そんな自分を貧乏だと罵ったこともあるが。仕事のストレスが、溜まっていたんだろう。
「どうして俺は、こんなところに……確か上から声が聞こえたんだ。納得が行かない事件があったから……そうだ!! 俺は、あの事件を解決するチャンスをもらったんだ!!」
仕事柄、そんな神だとか悪魔だとか魔王だとか、そんなお伽噺でしか見たことがない存在を認めていない。警察官で刑事でもある俺が、それを認めてしまったら仕事に支障が出来てしまうため。
未解決事件が出てしまった時、悪魔がやったんだー魔王がやったんだー神が罰を与えたんだーそんなちんぷんかんぷんなことを言う警察が、今まで居ただろうか……
信じちゃいけないんだよ、目で確かめたことだけを俺達は、信じる。警察が白旗を上げたら、民間人は、どうなると言うんだ!! 誰も救われないじゃないか!!
物語に出て来るだけなら、面白いんだがな。
1人喋り、時間を潰す訳には、行かない。現実世界では、俺のことを待っている上司が部下が居るんだ。
部下を引っ張るのが俺の宿命、こんなところで、ちんたらしてる暇はない。速攻で蹴りを付けてやる!!
現役の刑事なんだよ!! 刑事舐めんな!! どれだけ悪人をこの手で、この手錠で……どうやら手錠を家に置いて来てしまったらしい。
そうだよな……あの神が来た時、私服だった。私服に手錠とか拳銃を入れたら、警察官でも捕まってしまう。
仕事をするに当たって、あるまじき行為である。下手したら始末書、退職もあり得る。警察官と言う職業は、気の緩みを一切許してくれない。集中力を切らしたら、ダメな職業だからな。
「それに……俺の身長結構縮んだか? 手とか体とか……この文字が印刷されている服とか……俺が、小学生3年か4年の頃だぞ……」
この世界では、有り得ないことが多発するんだな。神の存在だけは、認めてやるよ。
正直の話、何もわからないが。進むしかないだろう。警察と言うのは、そういうものさ。情報を仕入れてたとしても現場に行けば予想していないことが、次々に起こる。そんな状況でも自分の知識を総動員させて、解決しなければいけない。
ハードだけど……これだけやりがいのある職業もない!!
「ざっと見たところ……田舎っぽい街並みだな……町全体そこまで、広くない……俺が知っている街並みより数段新しいみたいだな」
つまりここは、事件当時より大分前みたいだな。過去にタイムスリップしたのか!! ますますわからなくなってきた。
「外に出ないことには、わからないよな。このチャンスものにするぜ。ありがとうな神さん」
ベットから起き上がり、昭和時代辺りに良く使われていた古臭いドアを開けた―――
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