幕間(7)

足取り軽く、我が家に向かう金髪ポニテの少女。

今夜の献立は何だろう?

requestおねだりリンゴたっぷりのパイフィジェット・パイ

昔、祖母が作ってくれたパイは、ベーコンも逸品だが、リンゴがたっぷりなので食べ飽きないのだ。母のパイはというと、ややベーコンが勝っているがコレはコレでディナー向きと言える。

少なくとも「聖夜…(嵐の海に独りで漁に行った変人を讃える祭り)」に食べる「スターゲイジー・パイお魚が突き出た見目麗しくないモノ」なんかの100倍美味しい。偏見かもしれないが。


「ただいまあ!」

ノックも忘れてリーリエルは玄関ドアを開けて、元気に帰宅の挨拶。

「お帰りなさい、エル。」

母が満面の笑みで迎えてくれる。こういう時は十中八九、リクエスト通りになったと思って良い。

「今晩は…」余程上手に出来たのだろう、さぞ自慢げに語りだす母をダイニングに追いやりながら、にんまりする。

(うん、やっぱり今日は良い日だったのだ‼)

試練の後には、希望がある。

(主よ…)首から下げた聖印を握り、お祈りを。




「主よ。」

目的地に着く。今から始まる大捕物は、政治上にも大きく影響を及ぼし兼ねない。

掴んだ情報の精度は申し分無いハズだが、神に祈りのひとつ位は捧げておいて罰は当たるまい。

「警部。全班準備完了であります。」

「そう…此処まで私によく仕えてくれた。」

「いえ。全員、警部のため、正義の為に奮戦する警部を慕っております!」

「ありがとう。では、突入を開始する!」

「はっ!」

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