幕間(5)

お昼過ぎ。

学校の食堂は、と言えば何も全校生徒が集まるワケでもない。

先ずは、生徒だけでも700人近く、教員や、雑務員、も入れれば800人近く。入れるハズもなく、校内での販売店や、弁当や外食(通学生、教員等)、時間をずらす等の手段で日々賄っている。

この中で3人組の少女達は主に販売店で銘々、お好みのサンドイッチやパイを購入、自分達の机を寄せ合った基地で摂る事にしている。

「エル、お茶は?」(昼時は無償で給湯室から借りる事が出来る茶器と葉 、カトラリーティーセットがある。)

「あ、ちょらーい。(もぐ)」カップを差し出す。

「おぎょーぎわるーい!(くす)」微笑みながら、ポットからお茶をカップに注ぐ赤毛の少女。

「モーリー、私も!」黒髪の少女はパイを口元まで持って行き、そこでお茶が心許ない事に気が付いたようだ。

「ジュラも。フォーク置いてから。」めっ!っと視線で注意しつつ、おかわりを注ぐ。

最後に自分の分を注ぐと、ポットの中身を気にしつつ、机に置く。

「で、エル。」「で?」二人は金髪の少女にかぶりつかんばかりに、顔を寄せる。

「え?ええ?僕?」

「何か情報、有るんじゃないの?」「うんうん!」

「何でそうなるんだよ!?」

「だって。」「ねぇ?」

「わあ!冤罪だぁ⁉」ラストのサンドイッチを無理やり頬張ると、黙秘権を涙目で訴えた。「ん…ぐ……。」

「しょうがないなあ。」「どうします?裁判長!」


長閑のどかな昼食時。

何時もの光景。

ゆっくりと、少女達の時間は流れていく…



とある執務室。

「しかし!」

「関わるな、と言っている。解るだろう?」

「我々、警察は市民の安全のために在り、法の正義を証明するのが務めであります。」

「警部。」

「以上であります。では失礼します!」敬礼

「ジェイムスン警部!」

振り向きもしない部下は、声音に似合わないほど静かに退室した。


「有能、か。時に、それが仇になる。…若さもいいだろう。たまにはな。」署長は大きく伸びをする。

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