幕間(2)

王都ストラスアイラの中心部、ネヴィス河とネヴィス・アイラ運河の合流地点。

ストラスアイラ王朝時代からの離宮と王立ミルトンダフ神学校がある。学校は幼年学級と高等学級、学院部、学生寮があり、高等部は全寮(一部を除き)制、学院は希望制。

一部、というのは両親、ないしは父親が聖職者に限る、というものである。

少女は父親が聖職者なので、幼年学級時代から実家から通っている。


「ール!おーい、エル!」

学校に着くなり、同学級の親友から声が掛かる。

「なに?」金色のポニーテールを揺らし、振り返ると赤色の癖っ毛、ソバカスがトレードマークの少女がにやけ顔で手を振り、呼んでいる。

「なーに遅刻してるのよ?」

「べっつにー。ちょっとお爺ちゃんと喋ってたら、つい。」

「ふーん、家、厳しいでしょ?大丈夫なの?」

「モーリーのとこは?」

「ウチ?う~ん、おおらかだからねえ。信者っていっても、それほどカッチカチじゃ無いし。」

「そうなんだ?」背後から肩を掴んでもう一人。

「きゃっ!ジュラっ!驚かさないでよ!もう。」

「アハハ!モーリー、本気でびっくりしてる!」

「エル!黙ってたのね‼」

『エヘヘ♪』金髪と黒髪の少女達は揃ってイタズラの成功を喜んでいる。


そこに「おーい、モレンジー、リーリエル、ジュラ。そろそろ教室に入れ。ベルが鳴るぞー!」

『はーい!ドロナック師!』

三人、声を揃えて慌てて教室に入っていく。


ゴーーン、ゴーン、ゴーーン…

始業のベルが鳴り響く…

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る