幕間(1)
チチチ…チチチ…
「ん、ん…」
薄いカーテンの向こうには、明るい朝の日射しと小鳥の囀り。
今日も一日が始まりを迎える。
少女は小鳥の声にもう少しだけ耳を傾けたかったが、有無を謂わさぬ…
ジリリリリ!
と、耳をつんざく音。
しかめっ面で半身を起こし、何とか目覚まし時計の騒音を黙らせる事に成功した。
「ああ。もう少し寝てたかったな」
同意を求めて窓を見やったが、先程の理不尽な騒音のためか、小鳥は居なくなっていた。
やはり、騒音は迷惑で居なくなる事で同意を示してくれたのだと認識した。
とりあえず、テーブルに置いた聖印を手に取り、朝の祷りを捧げる。
すると
「…エル、……用意……わよ!」
階下から母の声。
「はーい、今行くから!」
とりあえず返事を返して、パジャマを脱ぎ出す。
「今日は何を着ようかな?」
「ちょっと!早くなさい!」
「分かってるって!着替えくらいさせてってば!」
さすがにこれには反論は無かったが、あれこれと悩む時間は無さそうだ。
とりあえず、適当に選んで袖を通す。
背中まで伸びた金髪を少し持ち上げて、紐で結わえる。
そして、いかにも慌ててました、をアピールするためにワザとボタンをかけ違えてドアを開け、駆け足。
昨日の夢は楽しかった♪よく覚えてはいないが、少なくとも悪夢ではない。
ならば、その夢はきっと楽しい夢だったのだ。
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